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大正ろまんイメージイラスト

竹久夢二の絵のモデル「おしまさん」-詩は大正のトレンドリーダー?


【夢二の絵の特徴とは】
夢二は、おしまさん(理想の女性)を絵のモチーフとして描いたのではないか。




夢二は絵と詩の両方を書いた。そして甘美でしかも愁いをおびた世界の表現者になった。精神性と感性が合致し、内なる感性を作者の中で調和してそれを表現できた。まれな美術家(作家)だった。女性に心を奪われて、女性の美しさは夢二の作品に生きて、夢二の生きていく糧になった。




その中で夢二の恋情をするどくとらえた「おしまさん」は夢二の持つ寂寥感や異性との悲劇性を端的に示している。人気作家の夢二にとっても手の届かなかった。おしまさんは特別な存在だったのかもしれません。
*「おしまさん」とは長谷川カタであり、理想の女性のこと。




【夢二の画法】
さて夢二の絵に現れる女性を見ると彼の特徴的な筆使いで線が「すっ」と引かれている。確かなもの(正確な線)を求めているわけではない。模写は大切だがそれを追求はしていない。目の前にある女性の美しさや自然の美しさに夢二は即座に反応して筆が動いているようだ。




一番目を奪われる箇所から描き始める。しかし細部も描いている。つまり自分の感性によって注目している部分をデフォルメしているのだ、ていねいに。顔や指先、足が多くデフォルメされている。とくに顔の描写は横顔が圧倒的に多い。顔が描かれていても目と目の間やほほの部分が異常に広い。




足や手の大きさなどもデフォルメされている。対象をそのまま描くのではなく、自分の感覚でデフォルメ(強調)して描くことは並外れた感性がなければできない。それが夢二はできた。
そうして生まれた夢二の描く女性はどこにもいそうでありながら、古風な人物でしかも少女の面影をどこかに秘めているのであるから凄いのだ。




【モダニズムの台頭】
NHKの日曜美術館で観たのだが、当時の木彫の作家たちは仕事がなくなってきて困っていたという。そして新たな表現方法を求めて西洋のモダニズム・ロダンの彫刻などをまねするものも出てきた。それまで日本の木彫りの伝統は、緻密に正確に作っていくことだった。しかしモダニズムの新たな潮流についていけなくなってきたのである。モダニズムは誇張とデフォルメによって作品を表現していた。当時の人々の目も外に向かっていたのである。




時代に遅れて衰退する芸術もあれば、新しい潮流を捕まえて生まれた芸術もある。今までの常識からはずれる夢二の画風はその旗手だったのかもしれません。
夢二は美術界からは疎外されていたが、そんなことは少しもこだわらず、自然に「美」を求めていた。自分の好きな表現を使って。理想の女性「おしまさん」を探すのと同様に。




【夢二は詩も書いている】
独特な夢二の絵は、まねが出来るものではなかったかもしれないが、夢二は詩も書いていて「ありふれた詩情」もそこには表現されていた。人気者ゆえ当時きっと夢二の詩をまねて幾多の若者・女学生が自分の詩を書き始めたに違いない。そういう意味で若者に影響力のある作家であったのは間違いない。今でいうトレンドリーダーだったのかもしれませんね。




*銚子をめぐる文人を参考にしました。