説明しないで物語をつくるとは?-職業としての小説家-村上春樹著-感想3【ネタバレ有り】

村上さんの言葉からわかる創作方法

村上さんは、物語の輪郭をデッサン・設計し「リアリズム」を一度徹底的に自分の心で溶かして、地下2Fで別の形に鋳造し直す。自身の小説はリアリズムに根差しているという。

普通の言葉を大切に集め、細かなディテールとともに自分の記憶に留めて熟成。
そのマテリアルを高度な技術で組み立てて、小説という入れ物で練り上げて、納得がいくまで書き(焼き)直す。
そういう作業を繰り返して出来上がった小説を読者に提供している職人?

この本の中でも自身は、

「同じ文章を何度も読み返して響きを確かめたり、言葉の順番を入れ替えたり、些細な表現を変更したり、そういう「とんかち仕事」が僕は根っから好きなのです。」と言っています。

(P168)

村上春樹さんは、専門用語や難しい言葉を多用する訳でなく、だれでも書けそうな平坦な言葉を使いながら、誰もが難しいと考えているテーマを選んで小説にしている、稀有な作家なのだと思いました。

*最後まで読んでいただきありがとうございました。

村上春樹著「職業としての小説家」新潮文庫刊の本を読んだ感想になります。
【注意】本文より引用、一部ネタバレも有ります。
引用以外は、すべて個人的な推測に基づく感想です。

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