キャラクター(登場人物)を加えて考える。
マテリアルの細部の記憶が物語のテーマを作っていきます。
「必然性のあるキャラクター」は物語をすすめる力をもつようになる。
キャラクターの細部の作り込みによって、舞台も登場人物も変化する。
その場面でディテールを書き分けることで、より自然に物語を進めることが出来るのかもしれません。
つまり登場人物も舞台も生きている。一緒に変化しながら進んでいるという事です。
村上さんも本の中で「キャラクターは物語が決める」といっています。
作家はマテリアルの細部について最初に決めているが、物語の進行とともに変化する。
なのでテーマを限定させて、自由な発想を縛られるのは意味がない。
「最初に細かく決めておいても意味がないし、最初から決めておくと質量が重くなる」という。
物語は軌道に乗ると、マテリアルとヴィークルとキャラクターが勝手に物語を作ってくれる。
その世界においてお互いに「有機的な関係になる」という事。
それはイコール説明が不要になることにも通じる。
〈有機的とは〉
有機体のように、多くの部分が集まって一個のものを作り、その各部分の間に緊密な統一があって、部分と全体とが必然的関係を有しているさま。出典:広辞苑第六版
「説明をしない」で小説を書くには‥
・物語をすすめるのは「マテリアルとキャラクターの親和性・有機性」。
完璧に作られた世界(リアリズム)で、登場人物が完全(十全)に生きられる。
・読者が望むのは「作られた世界観」であり、それを楽しむこと。
小説家はいかに楽しんでもらうかを考える。
キャラクターはそのために登場し、時に読者が自身を投影できる。
*以上のことから小説を面白くするために説明はしない方がいい。
今回わかったこと
村上さんの小説は他の小説と大きく異なります。
ご自身も書いていますが、作品に『徹底したリアリティがある』こと。
それは現実に近いという意味ではなくて、「つくられた世界観の中でのリアリティ」。
マテリアルの細部の記憶を合理的・効果的に使っているために可能になる。
その世界観が読者の気持ちをつかんで離さない。
計ったわけではありませんが考察してきたら結局最初に戻ってきました。
一番大切なのは「マテリアルに宿る細部の記憶」なんですね。
現実をそのまま小説に書いてもリアリティが出ないので、如何に脚色できるか。
キャラクターによるマテリアル(ディテール)の変化さえも楽しんで書ききれるか?
それが小説家の力であり、小説に深みを与えるのかもしれません。
ここまで村上文学の創作方法について探ってみましたが具体的になりませんでした。
謎の連続でしたが面白かった。
私の力不足を再認識するいい機会になりました(-_-;)。
*お疲れさまでした。
最後に次ページ「村上さんの言葉からわかる創作方法」を書き加えています。
よかったら読んでみてください。