「侍ジャパン」2023第5回WBC決勝ラウンド、
マイアミのローンデポ・パークへ。
2023WBC「侍ジャパン」1次ラウンドは投手が踏ん張り、打線も上位がつないで得点する。
中国-韓国-チェコ-豪州戦を4連勝といい形で通過。
準決勝は対イタリア戦も9対3で勝利して、マイアミの決勝ラウンドに進出を決めた。
・準決勝メキシコ戦は予想通りの厳しい戦いになった。
用意周到に準備しても一発勝負、国際試合の緊張感がのしかかる。
相手にリードされて接戦まで持っていくのも容易ではない。
ここで一本が出なくて接戦で負けてしまう、そんな不安もよぎったメキシコ戦。
しかし流れを変えていったのはラッキーや相手のミスでもなかった。
主力選手が臆することなく持てる力を出して「チームを鼓舞」。
監督の期待に答え追加点。初陣の選手も踏ん張ってチーム力をあげる。
アウェイで「メキシコの勢い」にまけなかった。
・決勝はチーム一丸となって最強打線「米国の重圧」を跳ね返えした。
激闘だったが「ドラマのように劇的だった」米国戦。
2023第5回WBC決勝ラウンドを振りかえった。
世界に日本野球の強さを発信した。
決勝ラウンド(ローンデポ・パーク)振り返り
準決勝(対メキシコ戦)
【準決勝の結果】
メキシコ戦: 6対5 で9回サヨナラ勝利。
勝利投手は大勢、9回表を無安打無失点に抑え流れを相手に渡さなかった。
本塁打は4回ウリアス3ラン、7回吉田3ラン。
吉田が3安打3打点。近藤・大谷・山田マルチ。
序盤は相手の先発左腕サンドバル(大谷のエンゼルス同僚)に苦しんだ。
1番から5番まで左打者を並べた侍ジャパン、メキシコ先発投手「サンドバル」の変化球に苦しんだ。
佐々木朗希は重圧がかかるなか力投。
初回から160k超のストレートを続ける。変化球もキレて3回を無失点に抑えた。
4回は不運なヒットで1・2塁とすると少し甘くなったボールをウリアスにレフトスタンドに持っていかれた。
3ランでメキシコに先制される。コンパクトに振り切るメキシコ打線は先発佐々木朗希を苦しめた。
パワーがあるので日本人相手のように完全に打ち取ることは厳しい。
侍の反撃は7回、2アウトになるも近藤がヒットで出塁し大谷がフォアボール選び1・2塁に。
ここで吉田が低め変化球をみきわめライトのポールに当たる3ランで同点に追いついた。
「起死回生の同点3ランホームラン」にベンチがファンが歓喜した。
吉田が一度見た変化球に対して2回目にしっかりとアジャストし振り切った。
その裏5回から好投していた山本だったが打たれて2点追加された。
リードされた8回栗山監督は早めの仕掛け。1アウト2・3塁で甲斐に代打山川を送る。
山川がレフトに犠打を放って1点を返し、4対5の1点差まで詰めた。
9回は先頭大谷が右中間に2塁打で出塁すると吉田がフォアボール選び1・2塁のチャンス作る。
吉田に変えて周東がピンチランナーに出ると、村上が左中間フェンス直撃のサヨナラ2ベースを打って、日本がサヨナラ勝ちした。
投手は山本から湯浅につなぎ、9回は大勢が抑え勝利した。
【大谷の準決勝:メキシコ戦】
DH打撃は4打数2安打のマルチ。
9回先頭打者、初球を右中間に打って2塁打。
ベンチに強烈なアクションでベンチを鼓舞。吉田のフォアボールから村上の逆転サヨナラヒットにつながった。主軸として逆転のきっかけを作った。
決勝(対米国戦)
【決勝の結果】
米国戦:3対2 で日本が勝利(決勝で米国に勝ったのは初めて)
勝利投手は今永。セーブは大谷。
2回村上ソロ・4回岡本がソロホームラン。岡本はマルチ。
米国は2回ターナーがソロ、8回シュワバーがソロ。
チームとして四球も8個選んだ。岡本がマルチ。
対戦相手は「米国」1番から9番までスター選手ばかり、マイクトラウトが2番座る。
今大会最高のカードになった。
米国は最強打線で勝ち進んできた。
6試合で総得点は49。チーム打率は310、本塁打は参加チーム最多の計10本。
ただ総失点は49でチーム防御率は4.33。
日本は6試合で総得点は53。チーム打率は314、本塁打は計7本。
総失点は16。チーム防御率は参加20チーム中1位の2.33。
米国は準々決勝(ベネズエラ)、準決勝(キューバ)と逆転勝ちでコマを進めてきた。
打線は振れているが、チーム防御率は今一つ。
日本は堅い投手力をバックにつないで主軸が決める。やはり上位でチャンスを作りたい。
米国は絶対的な投手を欠いているので、日本としては如何に得点を取っていくかが鍵。
また投手陣が少ない失点で終盤に持ち込めるかが大事だった。
決勝「米国戦」は今永が先発。
メジャー選手を相手に今永はストレートは150kのキレのあるストレートが良かった。
スプリット・スライダーを駆使。絶好調のターナーにソロホームランで1点取られる。
リードされた直後の2回裏、村上のソロホームランで同点に追いつく。
さらにヌートバーの内野ゴロの間に1点追加して勝ち越した。
4回には岡本がソロホームランで2点差に。8回ダルビッシュがシュワバーにソロホームラン打たれ1点差となる。
最後9回は大谷が登板。先頭打者に四球を与えたがベッツをセカンドゴロWプレーに打ち取る。
最後はトラウトを三振に打ち取って日本が米国に勝利した。
投手は先発今永から戸郷、伊藤、高橋宏、ダルビッシュ、大勢、大谷とリレー。
【大谷の決勝:米国戦】
DH打撃はは3打数1安打1四球。投手としては9回を無失点におさえ勝利に導いた。
一発勝負のプレッシャーのなかチームを鼓舞しつづけた。
指名打者で出場して中盤から終盤は登板の準備。
5回から9回の間にベンチとブルペンとの行ったり来たり。
DHをしながら投手の準備、とんでもないことをくりかえした。
1点差で9回の表に登板すると、まずは捕手中村にたいして「甘めに構えてください」と伝える。
(中村雄平は今大会で大谷の投球を受けるのは初めてだった、これも驚き)
先頭打者「マクニール」をフォアボールで出すも集中力をあげる。
1番打者「ベッツ」をセカンドゴロWプレーに打ち取ると
次打者2番「トラウト」が打席に入る。
ここでギアを一段上げる。
160k超のストレート2球でトラウトを追い込む。
最後は高速スライダーを外角に投げて三振に打ち取った。
勝ち切ったところで雄たけびが出た。
*トラウトを追い込んだストレートはミットを突き抜けるかのようなボールで凄かった。
最後の打者トラウトを三振に取ったスライダーは「全身全霊をかけた魂の投球」だった。
「準決勝・決勝」チームを牽引した選手たち。
・「吉田正尚」気持ちが強い。冷静に自分の役割をこなす「もう一人のMVP」。
準決勝:メキシコ戦の起死回生の技有3ランは、チームに勇気を与えた。
メキシコにプレッシャーをかけた。
*3ランで吉田は1大会での個人最多となる13打点目を記録した。
(それまでの最多は2017年のバレンティンによる12打点)
・「村上宗隆」目覚めた主砲、メキシコ戦9回監督の信頼にこたえる。
チームメイトへ感謝の気持ちを表現した。
準決勝:サヨナラ2塁打を放った。決勝:同点に追いつくソロホームラン。
今一つ調子に乗れていなかったが常に振り込んでいた。甘いボールに反応できた。
決勝で同点に追いつくソロホームラン打ち三冠王の片鱗を見せた。
・「岡本和真」5年連続HR30本越えの日本を代表する長距離砲。
メキシコ戦でレフトにホームラン性の打球を好捕され悔しい思いをしたが、
米国戦ではさらにソロホームランを打ちなおし雪辱した。
今まで代表に縁がなかった選手だが、パワフルな打撃以外にも器用な守備でチームに貢献した。
・「5人の投手侍」がUSA斬りの大活躍。
先発「今永」2回4安打2三振1失点。
2番手「戸郷」2回ノーヒット2三振無失点。トラウトから三振。
3番手「高橋宏」1回2安打2三振無失点。
4番手「伊藤」1回ノーヒット1三振無失点。
5番手「大勢」1回1安打無失点。
6番手「ダルビッシュ」1回2安打1失点。
7番手「大谷」1回ノーヒット1三振無失点。 トラウトから三振。
・「大谷翔平」の勝負魂。超人的な活躍をする2WAYプレーヤー、最後は神様も味方に。
さすがに準決勝・決勝では二刀流はやらないと思われたが予想をくつがえした。
彼はアメリカに渡ったのち、エンゼルスにも投手登板を相談していたという。
並々ならぬ闘志は決勝ラウンドでも変わっていなかった。
米国戦での投打にわたる活躍はスーパーマン。米国には衝撃を、全世界の子供に夢をあたえた。
(決勝9回の抑え登板に、大谷は違う惑星から来た人だろう?との疑惑もでた)
またその姿は日本や世界の野球ファンのみならず、普通のファンも沢山増やした。
*最後の9回登板でのトラウト斬りでの優勝シーンは、ハリウッド映画を彷彿とさせた。
大谷は第5回ワールドベースボールクラシックの大会MVPを獲得した。
ベストナインは指名打者(DH)と投手の2部門で受賞。
(DHで打率435、1本塁打、8打点。投手では2勝1セーブ、防御率1.86だった)
侍ジャパンが優勝を勝ち取れた要因を考えた
侍ジャパンが2023第5回WBCで14年振り3度目の優勝を勝ち取った。
メジャーリーグを代表するような選手との対決は「力勝負」に。
その中でも粘って四球も選び出塁し相手にプレッシャーもかける。
日本野球の「短期間で一丸となって戦える」強みが生きた。
侍ジャパン若手投手が最高の舞台で躍動、打者も自分の力を出し切った。
レベルの高いその技術は世界的に衝撃を与えた。
事前の準備があるから采配にブレ無し
マスコミでも無敵だとか最強だとか日本の投手は世界一だからと「ひとくくり」にまとめるが、それは結果がでたあとだから言えること。監督であれ選手であれ、それぞれが様々な状況の中、事前に勝てる準備する・信頼するのは簡単ではないはず。チームワーク・総合力が勝敗を分けたのだと思う。
栗山監督の就任からの話を話していたが、準備・采配は一本筋が通ったものだった。
選手を信頼していた、一流選手だからできる技術やマネジメントを優先していたという。
打者は大谷・ヌートバー・近藤・吉田・岡本・村上らあげていくときりがない。事前に鈴木が離脱も慌てることはない。投手は大谷・ダルビッシュ・山本・今永・
(そして決して悪口などは言わなかった。)
簡単に言っていたが過去実際にやった人がいるわけではないし、最終責任を取る監督の口から聞くと驚きしかない。
従来の指示型でなく選手個々の力を最大限にだすために監督が知恵を絞る、日本の野球界ではあまり見られないもの。
ある解説者の方が、「これからの日本野球の常識をかえるキッカケになるかも」と言っていたがそれも納得。
【ダルビッシュの献身的な活躍がチームをまとめた】
試合後の侍ジャパン特集番組でも解説していたが、ダルビッシュはキャンプ頭から合流。
自分の調整を後回しにしてまで、若手選手との交流に時間を割いていた。
決勝前夜にはアメリカ代表メジャー選手の特徴を若手投手陣に伝えていたという。
今大会ダルビッシュの調子は良くなかったのに。
栗山監督がそんなダルビッシュの姿には頭が下がり、優勝が決まった後に感謝を伝えた。
ダルビッシュのような主力選手が、献身的にチームの中でコミュニケーションをとりつづけたのは凄いこと。でも出来ることではない。
ベンチの雰囲気が前向き
ダルビッシュと大谷という精神的な支柱も加わり、雰囲気も重くならなかった。
新加入のヌートバーも明るい性格と積極性で場の緊張をやわらげ雰囲気を盛り上げた。
中盤以降は選手も個々のキャラクターを出せていけた。次第に若手打者に思い切りが復活。
日本の投手が試合を重ねるたびに成長。気持ちも強くもてた。
決勝米国戦前に大谷は「この試合は~憧れるのはやめましょう」と皆の気持ちを一つに。
結果米国を少し上回ったというのが合っているのではないかと思う。
大谷選手の雄たけびについては、今まであまり見たことのない彼の激しい部分が垣間見れて興味深かった。
また栗山監督が大谷選手のチームを鼓舞する動きや派手なガッツポーズについては、「大谷はこれがやりたかったんだと思った」、「彼は生きるか死ぬかの勝負がしたかったのだと分かった」と何度も言っていたのが印象に残った。
若手打撃陣・投手陣の成長
日本が優勝できたのは、監督の想像の上をいく成長が出来たという事かもしれない。
米国の打者が世界一は揺るがないし経験値は日本の若手よりも上。
決勝試合前、円陣での大谷選手の掛け声ではないが、上に見ていては勝てないといい。
ダルビッシュは自分の時間を割いて自分の背中を見せつづけた。
委縮していたら僅差での勝負は出来ても、勝ちきれていたかは分からない。
見逃せないバックアップメンバーの存在
源田:序盤下位の起点として出塁し守備でも活躍した。小指を骨折し先発から外れるも気持ちが強い。
決勝ラウンドでは復帰し好守備を見せた。自然体のプレーはチームに勇気を与えた。
山川:長距離砲だが活躍の場が限られた。メキシコ戦での代打でレフト犠打を打った。積極的にとった1点は大きかった。
*他の控え選手も力のある選手ばかりで、出場すればいい仕事をしていたはずです。
元々持っていた打撃・守備力・走力に加えて、世界レベルのパワーを獲得しさらなる技術のアップを可能にした。
実際に今大会は以前の大会ほど細かい作戦はなかったが、接戦になった時に出せるカードがあった。
日本の投手力が勝てた理由の第一だが、目に見えない部分でも日本野球の質が上がっていると思われる。
世界におくすることなく戦い、勝ち切ったのが財産に
*最強の米国相手にも、委縮することなく冷静に戦える侍ジャパンがいた。
これも力(技術・パワー・精神力)を蓄えてきた結果。
過去の選手が築き上げてきたものを若手選手が吸収している。
日本の球団も選手を育てる環境に。
国内に収まり切れない選手も世界で活躍。(それを許せる土壌も出来てきた)
力のある大谷・ダルビッシュだから説得力もあった。
自らどん欲にチームを皆を鼓舞し続けた。
彼らの行動から学ぶこと、その意味も考えたい。
メジャー選手が加わることで、日本人にないものも明らかになった。
これからは日本人選手のメンタルもさらに一段あがる。
(米国とのワールドシリーズも夢物語ではなくなりました)
その先には侍ジャパンのさらなる進化があるのでしょう。
ヌートバー以外にも侍を盛り上げた人達。
・侍ジャパンでは、DeNA「牧選手」と巨人「岡本選手」の意外なキャラクターがみれて楽しかった。
エンゼルスやカージナルスを始めメジャー選手や外国選手の知識も増えました。
各選手が身近になりました。彼らの活躍にも注目してみたいです。
・今回のメディア・放送関係は、解説者の方もメジャー経験者・WBC経験者だけでなく、NPBを現役引退したばかりの選手など多種多様な方が登場していました。
元日ハムの斎藤さんとヌートバーの関係も興味深かった。
野球芸人も詳しくてプロとのやり取りも面白い。色々な楽しみ方があるものです。
年々ファンと解説者との垣根は近くなっているように思います。
とにかく皆さん解説も上手だしファンに分かりやすく解説してくれるのでありがたいです。
勉強しないと必死で見ているファンに負けちゃいますからね。えらい時代になったものです。
以前は監督経験者だと権威ある方や有名チームのOBなどが登場していたけれど、それも少なかった。それも良かった。今回は短い開催期間でアメリカへの移動など行動力も必要でした。そんなことも関係しているのかな。
*このコロナ禍の数年間で、人がスポーツを見る目や、価値観も変わっているのかもしれません。
・野球ファン以外の人達が大会を盛り上げた。
今回のWBCは新たなファンを巻き込んでウェーブを起こしました。
さらにファンが増えるのは必至で、野球のみならず各方面に影響を与えたWBCになりました。
とにかく見どころ満載のゲームをありがとうございました。
選手関係者の方々お疲れさまでした。
*【注意】すべて個人的な意見です。
最後までお読みいただきありがとうございました。