「非常識のすすめ」里崎智也著 角川書店刊 (2015年発行)を読んだ感想になります。
プロ野球解説者はもちろん多方面で活躍されている里崎智也さんが、2014年9月引退の翌年に書かれた本を読んでみました。
千葉ロッテファンであれば読んでいる人も多いと思います。
まだ読んでいない方にむけて本の紹介と自分の感想を書いてみました。
少しでもお役に立てば幸いです。
解説者としての里崎さんの魅力
解説者として「歯に衣着せぬ」言い方はハッキリしていて爽快です。
論理的な話は説得力があります。
勝敗を真剣に熱く語り、距離を置いたような話もある。
話は分かりやすく自分の考えも押し出す。
「頭の回転の良さ」を感じます。同時に見ている人を楽しませようとする「サービス精神」もあります。
何か特定の球団に対して“忖度”が見える解説者もいるなか、「千葉ロッテ」出身だからといって、ロッテの野球に対して解説を甘くするわけでもない。
他の球団もよければ素直に褒めますし、どの球団も公平に語る。今一番“旬な解説者”だと思います。
この本の紹介
本の帯に書かれている“キャッチコピー”にはこう書かれています。
ツーナッシングの後はボール球で遊べ?
そんなのムダでしょ!
このコピーが本の内容を如実に物語っています。
キャッチコピーで笑ってしまいました。そして気がついたら買っていました。
本のキャッチコピー通り、しっかりと自分の話を展開しています。
この本の特徴を一言で言えば、里崎さんが2014年までの野球経験をまとめて語っているので、野球人生の「集大成のような本」だと思われます。
ためになったところや面白いところは沢山あるのですが、特に印象に残った部分を書きました。
野球を始めた時の話からプロ野球での生活まで、楽しく読めました。
独自の野球理論・捕手守備・打撃論については、「普通のプロ野球の視点」と「彼の独特の理論」を比較して語っていてわかりやすいかった。里崎理論のほうが理にかなっていると思いました。
捕手は大変ですね、かなりケガに苦しんだというのは意外でした。
ケガに苦しんだ野球人生だったことなどを暗くなくサラッと書けるのは、里崎さんの人となりが出ていると思いました。
千葉ロッテ選手時代の投手との「配球とリード」「盗塁阻止」「審判との関係」など駆け引きはリアルです。
投手・野手・審判の個性もでています。
入団から1軍に定着するまえでの話やレギュラーとってからの先輩や投手とのやり取りは真剣勝負、日々の成績が生活に直結する「プロ選手の生きざま」を見せてくれます。
またバレンタイン監督時代に「エンジョイベースボール」で学んだこと。
「プチ罰金制度(たまったお金を裏方さんにプレゼント・チームの雰囲気づくり)」や「逆算型のマネージメント(目先の勝負にこだわらない・ゴールを見てゲームプランをつくる)」などためになります。
ボビーは『チームが意思疎通を図りビジョンを共有する』ことを重視していた。
ベースボールクラシック(WBC)や北京五輪に出場した時の話も面白い。
「イチロー」さんの存在、「宮本慎也」さんとの激論など興味深いです。
2006WBCというと千葉ロッテから侍ジャパンに選手8人が参加していたんですよね。
そして千葉ロッテが2010年下剋上をした時のドラマ。
「いいメンバー」で「強かったな」と思います、ドラマ(葛藤)も生まれていた。
実力者もいたから色々あったのだと思います。
*この本には個性の強い選手が登場してきます。
振り返るとロッテのOBは「金田」「張本」「落合」と個性的なビックネームばかり。
伝統的に個性の強い選手が揃っていたという事に気が付きました。曲者も多かった。
この本の帯でも里崎さんは『常識を疑うことで僕は成長できた』と書いているので、「里崎智也」もその伝統を引き継いでいる選手なのかもしれません(少し強引かな)
感想
里崎さんの知られざる一面を見ることが出来ました。色々才能に恵まれた選手のように思っていたのですが、自分が彼を知らないだけでした。様々な困難なことも持ち前の明るさと努力で乗り切ってきたんですね。
さらに一つ要素を加えれば「運」だといいます。
里崎さんは「僕は無限の運を持っている」と言い切っている。その証拠として書かれているエピソードが凄い。それは「新庄さんに言われた言葉」や「4年連続満塁ホームラン」「10者連続ヒットの9人目でホームラン」などで、どれもとても面白いエピソードでした。
誰でもがマネできることではないと思いますが、彼の人生をすすむ姿勢は一般の人の手本になることでした。
それは「正しい生活態度」だったり「常識を疑い自分の頭で考える」、「自分の出来る努力をし続けること」など『生き方の基本』について書いている部分で、彼の行ってきたことです。
選手として十分な才能に恵まれていたわけではない。自分を成長させるために「常識にとらわれることなく」、自分の信じてチャレンジをつづける。それが成功への道だという。 その続ける“精神力”が凄いなと思いました。
又真剣勝負の中で「運」を大切にしたり「遊び」を取りいれるなど柔軟な生き方も持っています。そんな里崎さんの独特のキャラクターもユニークだと思いました。
解説者としての観察力は、現役のころ養った能力だと思いました。
里崎さんの今後の活躍が楽しみです。また2021シーズンに観られるであろう「千葉ロッテ選手の成長」に対して、里崎さんがどういうコメントをするのかも楽しみです。
千葉ロッテの若手選手には『彼を驚かせる活躍をしてほしい』と思いました。
本を読んで考えた-2021年千葉ロッテへの期待
最初自分の野球愛や理論を熱く語っていましたが、最後の方は文章の端に“ロッテ愛”が見え隠れします。OBの言葉に熱くなりました。
里崎さんの本を読んでひらめいたことがありました。
それは千葉ロッテが常勝軍団になるために何が必要なのかということです。
二つ頭に浮かびました。
一つは「常識にとらわれない野球をすること」です。
昨年も低打率でタイトルホルダーも出ませんでしたが、全員野球で2位に食い込んだ。
これはある意味「常識では考えられない戦い方」をしたからです。
チーム一丸となって推し進めてほしいです。
二つ目は「個性の強い選手を育てること」です。 ロッテには昔偉大な先輩達がいました。実力があり個性的でした。しかし今は破天荒な面はいりませんので、現代野球の個性とは「選手独自の能力」=「自分のセールスポイントを磨き、それを武器に戦える選手」が出てきてほしい。ということです。
チームに「千葉ロッテの常識にとらわれない野球」が生まれ、「個性の強い選手が生まれた」とき勝利がついてくる。そして千葉ロッテマリーンズの新しい姿が見れると思いました。
*最後まで読んでいただきありがとうございました。