2024年は大谷翔平選手の活躍は、野球界を超えてスポーツの世界も席捲。
2024年は投手リハビリ中での打者に専念してホームラン王の獲得、「本塁打50本-50盗塁」の達成など数々の記録を塗り替え、他の人が真似できないプレーをしました。実績以外でも評価は天井知らず。
この記事は大谷翔平選手が挑戦している「二刀流」について考えてみました。
能力のほかにも色んな要素が揃っていないと出来ないことが分かりました。
大谷翔平の二刀流の誕生
大谷翔平はほかの野球選手とは違い、幼少期から地域のチームで過ごし甲子園を目指していましたが、あまり他の選手と競うことに関心はなかったようです。
投打での潜在能力は抜きんでていました。高校で監督は目標を明確にする事を教えます。
大谷選手は投球技術がアップし、体も大きくなり注目される。
野球を楽しみたい、うまくなりたい、その気持ちが彼の原動力でした。
彼に注目していたメジャーの担当さんなどとの関わり合いから、次第にアメリカメジャーリーグへの憧れは強くなりました。
高校3年生でのドラフト会議から始まり、提案された二刀流が大きく彼の運命を変えていきます。
二刀流の本格的な挑戦が始まります。それは予想した以上に難しいものでした。
大谷選手自体が二刀流のプレーするにはフィジカルが足りてなかったからです。
ケガも経験しました。
日本ハムでの体の鍛錬は次第に技術のバランスが取れてきて、二刀流が始動します。
チームはもちろん本人も初めて。育成方法から起用方法に至ること。全てが手探りですべてが挑戦の日々。周りは大谷に対して信頼をする一方、二刀流が出来るのかに対しての半信半疑。
周囲の注目も高く責任も大きくなる。能力がある選手だからこその悩みです。
小さいころからの夢、アメリカに渡りメジャーリーグでの挑戦が始まります。
エンゼルスでの環境の変化、さらなる進化を求められる。
大きなプレッシャーも受けながらもたぐいまれな対応力で成長していきます。
ケガも乗り越えて二刀流での結果を残しました。
ドジャース移籍、鍛錬し続けてワールドシリーズでの優勝。長打力+盗塁での開花は二刀流のさらなる進化系を見せています。
二刀流には子供から大人までワクワクさせる力がある。野球界にとっても未来でありチャレンジ。
しかし生身の人間が現実離れしたプレーをする(ある意味二人分)ことは、かなり難しいことだと思います。
二刀流の難しさとは何か?自分なりに考えてみました。
二刀流で活躍することは、どれだけ難しいことか
プロ野球選手になるための体力・技術を備えている(天賦の才?)
まず自分は素人なりに推測、その条件を考えてみた。
・打者と投手の両方をプロ野球の世界で通用する能力(技術)を持っていること。これ自体がとても難しい。
・投打をし続ける体力があること。フィジカルに優れていないと出来るものではない。(メカニクスが効率的であること)
・指導者に恵まれてきたことです。かれを壊すことなく理解して伸ばしてくれる能力のある指導者。
プロになることで生まれる市場原理(時間)
しかしプロになると大事なことが加わります。それは市場原理・価値ではないでしょうか。
スポーツ選手にとって大事なこと、“時間”という肝心な軸も考えないといけない。
監督は選手をどう使うか?どうしたら勝てるかを考えている。(勝たないと来年はない)
“どの選手が結果を出してくれるか?”を常に考えている。
球団は毎年入団する選手がいるなかで、“特定の選手のみ投打の両方が試合で使えるようになるまで我慢して使う”ことはできない。
投打でどちらかが優れていれば、どちらかで育てた方いい。
監督には勝つために時間が限られている。
投打の片方の能力が伸びていけばプロで残れる。(選手も必死、当然考える。)
当然だが、使わない方は能力は落ちていく。
つまり二刀流選手になるには、投手と打者の二つの能力を“高いレベルで、同時期に出す必要”がある。(同時期に出せていないと片方をあきらめざるを得ない)
*この本(2022年刊)の帯には、ニューヨーク・メッツの球団社長の言葉が書かれている。
「大谷の影響で、各球団は少なくとも選手に二刀流をやらせることを検討するようになる」と。
しかし数年たった2024年になっても目立った選手は現れない。
それが簡単でないことを示している。
野球雑誌が調べたことよると、入団前に投打で優れている選手であっても、MLBで早くアピールするために、両方を伸ばすことより、どちらかを伸ばすことに注力する。または片方が伸びて認められれば片方をあきらめざるを得ないらしい。
二刀流は教えて出来るものではない
・日本ハムの指導者は彼の能力を認めたうえで、技術指導というよりもどう見守るかに注力したという。二刀流は前例のないこと、計画をもってトライ&エラーしながら進む。
・大谷は毎日試合でベストパフォーマンスを出すために人より数倍練習する。対戦相手を研究する。
二刀流のためオフには体力を強化し、ケガを防止するための準備を怠らない(体のメカニクスも研究)。栄養摂取を含め日々の節制は教えて出来ることではない。
*睡眠とリラックスすることを大切にしている。
・メンタルの強さも半端ではない。才能豊かな怪物が揃っているメジャーの世界で、毎年投打で結果を出し続ける。慎重さと大胆さが必要。
・対応力が優れていないといけない。毎試合が一流の投手、打者との対戦になる。柔軟に戦い方を考えないといけない。投打の両方となるとなおさら、頭の切り替えが早くできないといけない。(データーを有効に利用できること、ベテランのような老獪さ)
チームワークを大切にして結果を出すこと
・結果を出しているから二刀流として立っていられる。
結果無くして、独特の起用方法・特別待遇をチームメイトに納得させることは出来ない。
チームの勝利が一番。自分中心でチームワークを大事にできないと浮いてしまう。
フィールドでファンが喜ぶプレーをする
ファンが見たいと思わせる投打のプレーをすることができる。
160km(100マイル)超のストレートを投げて三振を取り、115マイルの打球を打ち、130m(約430フィート)を超えるホームランをかっとばしてチームを鼓舞する。しびれる試合でファンの期待以上のプレーをする。
これらすべてを持っているのが大谷翔平。
だから「ユニコーン」「唯一無二の存在」であると言われている。
世界を広げ続ける(周りを変える)
二刀流挑戦は必然なのか運命なのか?
大谷翔平が綿密に野球を中心にした人生計画をたてていたのは有名です。
先見力もさることながら、野球少年のワクワクする気持ちは変えず。
野球がうまくなるように努力、目標を達成していく力は凄いの一言です。
ただ自分で決められなかったことの一つが、2013年ドラフト会議での指名球団ではないでしょうか。
二刀流挑戦は一人で決められたものではなかったのです。
日本は投打の二刀流を提案した国
大谷翔平は2012年にメジャーリーグ挑戦を宣言。
多くの球団があきらめる中、大谷を強行指名したの日本ハム。
日本ハムは交渉権を獲得したものの悩んだ。(業界内でも様々な意見が交錯した)
どうしたら入団してもらえるか?そのための計画を立てた。育成プラン含めて詳細なものでした。
その中で大谷を引き留めるための切り札としてあがったのが「二刀流」でした。
大谷自身も日米のプロ球団に入ったら、最初に“投手としてプレーして欲しい”と言われるのではないかと思っていたという。「二刀流」をやってみないかとの提案に驚きもあり、大谷もそういうプレースタイルもあると気づかされたという。
*周りも半信半疑だったが、その能力と姿勢に関係者も応援する側に。
アメリカは二刀流選手ベーブルースの生まれた国
アメリカは勝つことも大事だが、ファンに楽しんでもらうことを重視する。
当然選手が試合にのぞむ姿勢も変わってくる。いいプレーには誰もが拍手する。
チーム練習は自由にできるわけではなく、球数制限など管理された環境でもある。
*二刀流選手ベーブルースの生まれた国。その偉大さが分かっている、その挑戦に拍手を送る雰囲気がある。
選手は野球を楽しめと言われる。ファンはワクワクするプレーを観たい。
二刀流挑戦はそれに合致した。周りの人を楽しませ熱狂させる。
エンゼルスの元監督ジョー・マトンは大谷翔平の本質は、『野球そのものと試合を可能な限り楽しもうとする姿勢にある』といいます。
大谷翔平の挑戦を許容する環境があった。そして彼もその環境を楽しんでいる。
*二刀流は運命なのか必然なのか?*
大谷選手ほどの実力者であれば、仮に日本ハムでのプロ経験がなくてもメジャーリーグで活躍していたでしょう。ただ日本の若い選手がいきなりアメリカに渡り、メジャーでの二刀流挑戦が許されていたかと考えると大いに疑問。
当時大谷に目をつけていたメジャー(LD)のスカウトは、高校生の大谷を投手としてスカウティングし、彼ならば「マイナーで3年間がまんして、4年目にはサイヤング賞をとるという姿」が想像できたと言います。
個人的な意見ですが、日本ハムへの入団は運命的なものであり、二刀流開花への助走として必要不可欠なことだった。日本ハムでの経験なしにメジャーで二刀流で活躍できていたかは疑問だと思いました。
感想
人間的な魅力にあふれている
二刀流の挑戦には本人の能力に加えて、沢山の人の協力が必要になってきます。指導者さえも彼のプレーに魅了されました。栗山英樹(元日ハム監督)、マイク・ソーシア、ジョー・マドン(元エンゼルス監督)。
大谷翔平の野球能力はとても優れていたが、それに奢ることなく日々努力し続けて自分の目標を実現させていく。プレー以外にもその姿が人間的に魅力的であり、普段野球に興味のない人をファンに加えていく、年々多くの人を巻き込んでいる。
二刀流をすることはとてつもなく凄いこと、とても難しいことだと再確認できました。
プロ選手でも想像が難しい領域「二刀流」、エンゼルスのチームメイトであった「ジャネット・ウォルシュ」はこう語っています。
「あいつがやっていることを普通だと思ったことは一度もない」「投手と打者でプレーして~、毎日、集中し直すことは大変な作業」、そしてファンのほとんどの人が、その凄さをまだ理解できていないと。
二刀流がどんだけ難しいのかを知りたくて記事にしてみました。
私など野球に対して素人である意味無謀でした。ただの一ファンには大谷選手は雲の上の人です。
それでも客観的に要素をつみあげて、難しさの一端が見えたかなと思います。
来年2025年には投手としても復活、大谷選手の二刀流への挑戦は続きます。
ファンとしては楽しみしかありません。凄いプレーを期待しています。
PS:大谷選手にとって「今気になっている二(ふたつ)」とは?
大谷選手にとっての「今気になっている二つ」を感じられる記事がありました。
それは自身のピッチングとバッティングの違いについてのインタビューを受けた時の記事です。
大谷選手の感覚としては「バッティングは技術の正確な裏付けがあり、自分で修正可能なもの」、それに対して「ピッチングは独学であり感覚で投げている部分が大きい」、まだ課題が多いとのこと。
ピッチングに対しての現在の課題は、“フィジカルと技術”の二つの融合をどうするか?らしいです。
*最後までお読みいただきありがとうございました。あくまでも個人的な意見です。
この記事は「SHO-TIME大谷翔平メジャーリーグ120年の歴史を変えた男」ジェフ・フレッチャー著、「最高のチームの作り方」栗山英樹著、野球雑誌などを参考にして書いています。
二冊ともに大谷翔平の成長の物語でもあります。様々なドラマが丁寧に書かれています。書評については別に書く予定です。