千葉県誕生150周年記念事業として作成された書物、マンガで旅する「日本北総四都市江戸紀行」(企画・発行 千葉県教育庁教育振興部文化財課)2023年9月初版(176P)を読んだ感想になります。
*千葉県が“マンガの形式で千葉県の歴史関係の本”を刊行するのは初めてだそうです。
北総四都市は平成28年4月に「日本遺産」に認定されています。
北総四都市とは、千葉県の “佐倉、成田、佐原、銚子”です。
当時の百万都市江戸を支えた代表的な北総地域の四つの代表的町並群です。
北総地域は、百万都市江戸に隣接し、関東平野と豊かな漁場の太平洋を背景に、利根川東遷により発達した利根水運と江戸に続く佐倉道(成田街道)を利用して、江戸に東国の物産を供給し、江戸のくらしや経済をささえました。
江戸文化を取り入れることで、城下町の「佐倉」、成田山の門前町「成田」、利根水運の河岸・香取神宮の参道の起点の「佐原」、漁港・港町、磯巡りの観光客で賑わった「銚子」、四都市が発展してきたのです。
*千葉県香取市・北総四都市江戸紀行の紹介リーフレットより
日本遺産とは
文化庁が、地域の歴史的魅力や特色を通じて、我が国の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産」として認定し、ストーリーを語る上で欠かせない魅力溢れる有形や無形の様々な文化財群を、(地域が主体となって)総合的に整備・活用する取組を支援する政策。
*文化庁「日本遺産ポータルサイト」より
地域に点在する遺産を「面」として活用し、発信することで、地域の活性化を図ることを目的としています。
この本「日本北総四都市江戸紀行」は、四都市を短編マンガ・写真・文章・資料で紹介している書籍です。よくまとめられていて、ためになる本でした。
*地元の図書館に置いてあり借りて読みました。
簡単にご紹介します。
短編マンガの簡単なあらすじ
北総四都市:各都市にはお寺・神宮、お祭りや行事が今も残ります。
江戸とのつながりに物語がありました。
・導入のマンガは、日本遺産と四都市について学ぶ物語。
千葉県内の小学6年生の男の子が、先生から日本遺産と四都市について教えてもらう。
・城下町「佐倉」の物語
江戸時代の商人の父と息子が、佐倉のお客様に商品を届けに来た。
その足で佐倉の街道を歩く。
佐倉城や麻賀多(まかた)神社、佐倉順天堂などをまわる物語。
・門前町「成田」の物語
現代の家族3人と従弟が成田新勝寺に行く。
参道を歩いて美味しいものを見つけたり、一粒丸三橋薬局に行ったり。
成田山の歴史や成田祇園祭を見ることで歴史を勉強する。
・商家の町「佐原」の物語
中学生の女の子が友達と一緒に校外学習で佐原の町をめぐる。
佐原の神輿や山車の出るお祭りを通じて歴史を学ぶ。
舟に乗ったり、伊能忠敬記念館を見学、香取神宮にお参りする。
・港町「銚子」の物語
江戸の子供が間違えて舟に乗ってしまい利根川を下り銚子の町に。
醤油醸造や漁港を見ることで銚子は交易が盛んであることを知る。
・まとめのマンガは、北総四都市を旅する物語
女子中学生の家族4人が四都市を旅行する。
観光地や史跡・文化財をめぐりながら、四都市のグルメを楽しむ。
マンガで“四都市と江戸との物語”が語られます。(大人も十分に楽しめます)
マンガの後は、四都市をより知るための4つのポイント。
史跡・文化財なども紹介されています
マンガの後には、四都市を知るための4つのポイントが簡潔にまとめられています。
その記事の後ろには、各都市の簡単な地図、続いて各ポイントに関わる史跡・文化財・お祭りなどの写真・解説が載っています。
それぞれの物語は理解を深めるのに役立つものです。
本の最後は、佐倉市、成田市、香取市(佐原)、銚子市の魅力を紹介する資料が載っています。
最後まで楽しく読みすすめることが出来ました。
*私個人的には、佐倉藩主を務めた堀田家、成田祇園祭、佐原の山車行事、銚子の織物や藤製品、などが勉強になりました。
感想
北総四都市には史跡・文化財が有り、お祭りも盛ん、歴史的な物語がありました。
特色ある街並みや風景が今も残っています。江戸情緒を感じることが出来ました。
成田空港からも近い四都市は、世界から一番近い「江戸」ともいわれます。
温暖な気候で風光明媚、地元でとれる美味しいものも沢山有ります。
江戸と四都市の関係・新たな知識を得ることが出来ました。
誇るべき千葉の四都市、より一層北総地域が好きになりました。
今回は書籍でしたが、また実際に訪れてみたいです。
短編マンガは四都市ごとに違う漫画家が担当していて、キャラクターに個性があって面白かった。
練られたストーリーから千葉県関係者や漫画家さんの熱意が感じられました。
四都市の発展の始まりは、徳川家康の利根川一大工事でした。
利根川は東京湾に注いでいましたが、江戸は“水害”に苦しんでいました。
また“新田の開発”や“東北からの物資(米など)”を江戸まで運ぶ水運を開く必要がありました。
そのため徳川家康は60年の歳月をかけて、“利根川の流路を銚子までの流路に変える”という一大土木事業を行いました。
この「利根川東遷」により千葉県北総地域に水運が開け、利根川は人・モノ・物資を運ぶ川の道になりました。
四都市は関東平野と豊かな漁場の太平洋を背景にしていましたので、その完成した利根水運と江戸に続く佐倉道を利用して、江戸に東国の物産を供給し、江戸のくらしや経済をささえました。
長い間の多くの人々の仕事のおかげで、今の東京・千葉の繁栄がある。
先人の人々に感謝したいと思いました。
最後に
作画を担当された漫画家の方々
日本遺産・四都市を学べる物語(20P)は「夏名ゆーま さん」
佐倉の物語(20P)は「アマットル・キナさん」
成田(20P)は「スガさん」
佐原(20P)は「新山ハルキさん」
銚子(20P)は「古岸三さん」
最後に四都市を旅した物語(20P)を「コバタさん」です。
*作家さんが丁寧に描いている本格的なマンガで、読み応えがありました。
2023年7月に「電子書籍」としても発行されています。
“北総四都市”で検索すると出てくる“千葉県HPの教育委員会のページ”から、WEB版(電子ブック形式)を読むことが出来ました。
書籍として読みたい人は、図書館で借りる以外にも、有料ですが購入することも出来ます。
*単行本は千葉県文書館1階(千葉県中央区中央4-15-7)行政資料販売コーナーにて買えるとのこと。
詳しくはHPを見てください。
サクッと読めますので、是非読んでみてくださいね。
*最後までお読みいただきありがとうございました。
マンガで旅する「日本北総四都市江戸紀行」企画・発行 千葉県教育庁教育振興部文化財課2023年9月初版、千葉県香取市・北総四都市江戸紀行の紹介リーフレット、銚子市日本遺産活用実行委員会・北総四都市江戸紀行・港町銚子紹介リーフレットを参考にしました。