群ようこ著「こんな感じで書いてます」-感想-逞しくて面白い

*「こんな感じで書いてます」群ようこ著 新潮社刊を読んだ感想になります。
新潮社で2021年から2023年にかけて「小説新潮」に連載されていたエッセイとのことです。
題のとおり、群ようこさんが自身の小説家人生をエッセイにして書いていました。

【感想】

群ようこさんの小説家としての出発点は文学賞とは無縁。
若い時に出版社に勤務しているときに頼まれて書く事を始めたのがきっかけだという。

独特の感性と書く力を駆使して“一人のプロの作家”として生きている。
ただ肩肘はって書いていないように感じました。普通の人の感覚を大切にしていて、とても親しみがわきました。

作家として「自分の書きたいことを書く」、そのスタンスを大切にしている。
書くネタにはほとんど困らないという。努力しながら数十年小説家として走り切れているのが凄い。

出版社編集者とのやり取りはリアルでとても興味深い。
内輪の話を具体的に話してくれているのが面白い。簡単なことではないと思う。

ツボを知っているのでしょう。自分のことを恥ずかしいと思わずにさらけ出せる根性も半端ではない。エッセイや小説として、読者の興味を引き続けるのも凄い。

終盤に進むにつれて麻雀の話など私生活を書いている。
ご自身の生き方にもこだわりがある。周辺の人との関係からキャラクターも浮き彫りになってくる。それをネタにするのも逞しい。

生き方に軸がある。首尾一貫しているのが“ものつくりの人”であることを実感させる。
小説家は自営業であり様々な苦労もあるでしょう。原稿を書く苦労だけでない所にドラマがある。
その語り口は独特のコミカルさもあるので決して重くならない。
不思議な潔さがただよっていて普通でない雰囲気も漂っていた。

共感というよりも生き方がカッコいい?

女性に人気があるというのもなんとなく想像できました。

自分の小説家としての原点を振り返りつつも未来へ目を向けている、そんな気概も見えました。
ご本人のペンネームをつけた時の元上司とのエピソードも素敵でした。

一気に最後まで読んでしまいました。ファンの方でなくても楽しめます。

群さんは面白くてキレがある作家さんでした。テクニックも勉強したいと思います。
群ようこさんの本「かもめ食堂」や、ねこのエッセイに興味があります。
群さんおすすめの本も紹介されていたのでそちらも。

*最後までお読みいただきありがとうございました。