「言語化するための小説思考」小川哲著-感想-例文に小説家の凄さを見る

*「言語化するための小説思考」小川哲著 講談社刊 を読んだ感想になります。【注意】若干のネタバレ有ります。本を読んでから記事をご覧になることをおすすめします。

現在人気の本です。

小川哲-言語化するための小説思考
小川哲-言語化するための小説思考

目次

1、小説国の法律について
2、小説の「勝利条件」
3、知らない世界の話について堂々と語る方法
4、「文体」とは何か?
5、君はどこから来たのか、君は何者か、君はどこへ行くのか?
6、小説はコミュニケーションである
7、「伏線」は存在しない
8、なぜ僕の友人は 、小説が書けないのか
9、アイデアの見つけ方
10、小説ゾンビになってわかったこと
11、小説の見つけ方
12、本気で小説を探しているか?

いきなり本の最初に結論が述べられます。
万人向けの「小説の書き方」なんて存在しない。
あなたが小説を書いてみたいのであれば、あなただけのやり方を見つけるべきであると。

アイデアは天から降ってくるのではなく、奇跡に見える何かを連続して引き起こすことだという。

この本は1章から12章まで様々なアプローチで書かれている。

方法を列挙し目的地へのルートを示すのではない。
小説とは何か?」を最終目的地として物語をすすめる。
目次見るとテレビゲームのよう。
ただし勇者は出てこない。
(道を惑わせるものは出てくる)

主人公は法律を探す、小説国で勝利するために。
秘密を手に入れて、理想の世界を作るために。
冒険の途中なのだ。探しているのは形のない「小説」。
もちろん攻略本などない、答えもない。

*作者自体も冒険の途中なのだ。(すると10のゾンビもはまった)

通常のハウツー本とは違っていた

色々な読み方ができる構成ができる

「小説とは何か?」を理路整然と語るのでなく、各章の子テーマが語る。

小説とはなんだろう?”というシンプルに読んで面白い。
“小説の作り方”を求めて読むと別の答えが出てくる。

この本はハウツーでありエンタメという両面をもつ。
今まで書き尽くされた“小説の書き方論”に対しての挑戦でもある。

各章にメタファーが埋め込まれていて、例文にも変化がある。
テクニックがさりげなく使われている。読み手を試しているような気もします。

*あなたのルートの選び方で答えが変わってきます。

面白くて深い

全体を貫くのは「面白い小説を書きたい」という熱であり、課題をあげてその最終目的に到達するべく「小説とは何か?」を考えぬく姿。

各章にある“例文”が、バラエティに富み、かつ楽しい。
(この例文がとても良かった。物語のスパイスになっていて、プロ小説家の凄さを見ました。)

小説を書くために大切なことが書かれている。各所にちらばる金言を学べる。内容が濃いので何か書くとネタバレになりそう。

才能豊かな多ジャンルをこなす作家が「小説とは何か?」を分析している。
若き求道者の姿もみえました。
一方小説家として書きにくいことも書いている。

小説国の法律は、「書いていくことによって、その人に答えを出してくれる」という。

勉強したいこと

著者は、自分の小説法を探すためには、自分が気にいっている著者の小説法を知っておくことが重要だという。

「自分と小説法の一致した著者を見つけること」が読書を楽しむうえで大切。
小説を書きたいと思っている人であれば、「自分の小説の書き方を知るためにも役立つ」。
人気のある作家であれば間接的に、なぜ人気なのかを知ることが出来る
自分の独特すぎる小説法に入りすぎることもない。
面白いアプローチで試してみたいと思いました。

*他にも役立つアイテム(金言)は、たくさん隠れています。

蛇足:ゾンビの意味を考える

10章の「小説ゾンビ」が気になったので、作者の意図を推測してみました。
「小説ゾンビ」とは作者本人のことと仮定。

作者は「小説とは何か?」を求めて、小説国を「ゾンビ」のように動き回る。前に進む象徴
一方ゾンビを恐れている自分もいる。自分が悪くなれば、それを移す可能性があるから。目に見えないもの。
それでも「ゾンビでいること」に価値がある。理想への歩みを誰にも止められないから。諦めないこと。

*飯が食える食えないもふくめ小説家の立場を隠喩。
またAIなど使う変なゾンビが出てくるのを恐れる。

*冒険の最後はどうなるのでしょう。

お勧めします。お休みに手に取ってみてはいかがでしょうか。

*最後までお読みいただきありがとうございました。
「言語化するための小説思考」小川哲著 講談社刊を読んだ感想でした。
小川さんは千葉県千葉市の出身でもあり応援したいです。
これから他の本も読んでみます。