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コノキ・ミクオ詩集 猫屋敷 表紙

芸術の熱く紅い炎-反骨-生と死-自然-猫-コノキ・ミクオ詩集「猫屋敷」-感想

油彩画・壁画・ガンダ彫刻・ガラス絵などで有名なコノキ・ミクオ先生が平成25年(2013)に発売された詩集
コノキ・ミクオ詩集「猫屋敷」 松山庭園美術館刊 のレビューになります。

松山庭園美術館ねこ01
松山庭園美術館ねこ01

コノキ・ミクオ詩集ー猫屋敷ー レビュー

詩の題名「猫屋敷」に納得

先生のアトリエは千葉県匝瑳市にあります。
毎年春から夏にかけて「猫ねこ展覧会」を何年も開かれていることでも有名です。

猫に関しての油絵・水彩画・アクリル画・ガラス絵などから立体作品に至るまで様々な猫美術に出会うことが出来ます、展覧会期間中には“猫グッツ”も販売しています。
毎年全国からファンが楽しみに訪れています。

そして美術作品以外にも“癒し”もあります。
庭園の内外には数匹の猫たちが住んでいて、来園者をお迎えしてくれます。
しかしそこは猫なので自然や芸術と遊ぶ?。
1匹でも猫に会えればラッキー、運が良ければ数匹の猫に会える程度に考えた方がいいかも。

コノキ・ミクオ先生の猫好きは有名で、詩の題名「猫屋敷」も納得です。

先生は以前から詩を朗読する会などの活動もされていて詩は書いていたんですね。
芸術家人生を連想させる詩、猫に投影する詩、自然災害・生命についての思い、世相を反映したもの、老いなど様々な先生の想いに触れることが出来ました。
なかでも自分がいいなあと思った詩を数編ご紹介します。
【注意】『』内は詩からの引用(詩の最後の三行)です。*からは自分のレビューになります。

「トマト」

『~真っ赤なトマトは
赤いこころ
熱い熱い人の味がする』

詩はトマトにこころを重ね合わせています。確かにトマトの味は不思議です
トマトはどうしてこんなにも赤いのだろう。夏の日に必ず思う事です。
暑い日に触ると独特の感触で、その香りを嗅ぎながら張り裂けそうな皮をかじるとトマトの汁が口の中にひろがる。時に甘酸っぱくて・時に思ったほど味が感じられなくて、体調によって味も変わります。
自然そのものを食べているようで、トマト食べるとドキッとします。
農家さんがトマトは作るのが大変だと言います。
きっと丹精を込めないと食べられないのです。
トマトは。

「高慢の虎」

『~高慢な虎は大きなあくびをして
ニヤニヤ笑っている
私の心の中の井戸には変な虎が住んでいる』

高慢という言葉にドキッとする詩です。
人はこころの中に“その虎”を持っている。
外にみせている人、上手に隠せる人、知らないうちに見せて生きている人。
ふと立ち止まって振り返った時に底に見えるものなのかもしれませんが、井戸の中の虎の姿は自分の気持ちかもしれないと思うと恐ろしくなります。

「もし私が猫になったら」

『~いつも綺麗なお姐さんの膝で
ごろごろと喉を鳴らして
寝ています』

猫だったら‥‥と仮定の話ですが、人間臭さがしっかりと出ています
とてもウィットに富んだ楽しい詩だと思いました。
詩のゆるい感じに笑顔になりました。
猫になったらこうしたいという詩の一節に頷きました。
猫がこの詩を読んだら「多分異議あり!」と叫ぶと思いますが‥。

【この詩集に出てくる言葉を書き出してみた】

詩の転載はもちろん、内容も詳しくはかけませんので、この詩集にでてくる地名など言葉を抜き出してみました。
詩の雰囲気が感じられますでしょうか。

画家名や人名が沢山でてきます。

(画家)スーチン・ヴラマンク・ミケランジェロ・ゴッホ・セザンヌ・ピカソ・ルノアール・ジャクソンポロック。
(人名)モーツアルト・ベートーベン・ガレアッツオ・ロンダニーニ・サヴォナローラ・ユリウス・カエサル・ブルータス・イスカリオテのユダ・バッハ・モジリアニ・高村光太郎・ドン・キホーテ・サンチョパンサ・ニールアームストロング。

・外国の地名などが沢山出てきます。

フランス、スフォルツェスコ城、エッフェル塔、イタリア、ローマ、コロッセオ、サンジミニヤーノ。

・色が沢山でてきます。

金色・白い・虹色・青臭い・真っ赤な・赤い・ホワイト・ピンクマダー・ヴァーミリオン・オレンジ・茶色・赤・青・黄色・緑・紫・藍色・空色・ピンク・純白・真っ黒い・黒い・紅の色・琥珀色・銀色・青白い・透明・薄緑・濃い緑・桃色。

【詩集に出てきた画家について調べてみた】

スーチン(1893-1943)
フランスの画家、エコール・ド・パリの一員。
静物・風景・人物など激しい表現主義的な絵画。鮮烈な色彩とデフォルメに特徴がある。
レンブラント・クールベなどの影響を受ける。

ヴラマンク (1879-1958)
フランスの画家。
フランスの貧しい家庭に生まれる。ゴッホに影響を受ける。
強烈な色彩と激しい筆使いによる表現主義的な絵画を描く。
その後黒・藍色・白を基調にして激しい風景や静物を描いた。

・ミケランジェロ (1475-1564)
イタリア・ルネッサンス期の芸術家。
大理石像・絵画・天井画・建築設計・詩。

・ゴッホ (1853-1890)
オランダ生まれ。後期印象派の画家。
強烈な色彩と激情的な筆致の絵を描く。

・セザンヌ (1839-1906)
フランスの画家。後期印象派の巨匠。野獣派・立体派などの先駆。
印象主義によって失われた固有色や堅牢な画面構成を取り戻し、画面内の形や色の造型的価値を探求。
出典:広辞苑第三版。

・ピカソ (1881-1973)
スペインの画家。フランスに定住。
古典調から立体派、超現実派・抽象派、表現派の諸時代を経て、その作風は変転を極め、非凡な天分を以て常に斬新な境地を開拓。版画・彫刻・陶器も作る。
出典:広辞苑第三版。

・ルノアール (1894-1979)
フランスの画家。印象派の一人。
風景よりも人体を重んじ、人体を含む古典的構図や肖像を華麗な色彩で描いた。

・ジャクソンポロック (1912-1956)
アメリカの画家。抽象表現主義の代表的作家。
画家ベントンに師事、即興的に描く前衛的作風で知られる。
床の上のカンバスの上に絵具をたらして描くなど自身の行為で画面に書くことから「アクション・ペインティング」と呼ばれた。
スケールの大きい抽象絵画でアメリカ美術を世界に広げた。

この詩集の構成を調べてみた:合計で103編

芸術家の魂が見える詩が22編、猫が登場する詩が13編、天災をイメージさせる詩が14編、人生についての詩が31編、あとの23編は上記以外のテーマでした。
*あくまで個人的な分類です。

まとめ

芸術を通しての様々な人生経験が詩になっていると思いました。
ヨーロッパの地名や人名、自然の力や生と死についても考えました。
詩の中にある勢いのある筆致は絵のようです。
様々な色が想像をかきたてます。
また自虐的にユーモアもありました、暗くならないのは先生の生命力でありキャラクターがなせる技なのだと思いました。
“芸術で生きてきた先生の凄味”を詩の端々から感じることが出来ました。
詩の合間に挟まれている鉛筆画の挿絵はタッチに味があって楽しいです

まだ読まれていない方は読んでみてはいかがでしょうか。
松山庭園美術館で販売しています。(価格は税抜きで800円です。)
住所:〒289-2152 千葉県匝瑳市松山630

問い合わせ電話番号 TEL:0479-79-0091

*最後まで読んでいただきありがとうございました。