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井口資仁「下剋上とは言わせない」本表紙より

井口資仁著「もう下剋上とは言わせない」-感想-チーム改革-千葉ロッテ黄金時代への布石


千葉ロッテ監督、井口資仁著「もう下剋上とは言わせない」日本文芸社刊-本感想になります。本を読んでいて昨年井口監督が優勝争いの中、ベンチでドシッとしている姿を思い出していた。2020年マリーンズを襲ったピンチ、コロナ禍で主力メンバーが離脱しチームが下を向いたときも、井口監督は前を向いてぶれることが無かった。その姿をみて頭に浮かんだ言葉があった。本の感想に入る前にその軸について書いてみます。







井口監督が指導者として持っている力




組織をまとめる「胆力」




井口監督が持っている落ち着きは何処から出ているのか。外見は逞しくかっこいいのは言うまでもない。現役時代ソフトバンクからメジャー、マリーンズで活躍したその姿には「体力」「強い精神力」と「抜きんでた技術」で輝いていた。
しかし監督・井口資仁には、それだけでない別の面が隠れていることに気が付いた。 井口さんの内にあり表に出てこないものだ。

それは言葉で表すと「胆力」ではないかと思った。

辞書によると、「胆力(たんりょく)」とは、ものに恐れず臆せない気力・度胸とある。
昨年のチームを襲った数々のピンチにも「ドシッとして揺るぎない態度」は凄かった。マリーンズは勝ち癖のついていないチームなので、ピンチは「下を向きがちになりがち」である。
井口監督はその胆力で・その存在で、チーム・選手を落ち着かせまとめていた。それが投手陣や昇格メンバーの活躍を呼び、最後ソフトバンクに離されながらも2位に返り咲いた。
井口監督の「胆力」が利いていたことがあったからだと思う。




強い意志と構想・実践




しかしそれだけで勝てるほど甘い世界ではない。それ以外にチーム力をあげるには「論理的な頭脳」が必要になる。最初に必要なのは監督の「理想」であり「計画」ではないだろうか。「成功するための計画」は「指導者の強い考え(理想)」が入っていないと意味がない。

本を読み始めて最初に感じたのは、 井口さんが監督を引き受けるまでに、いかに「チーム作りを論理的に計画していた」かということです。決して潤沢な資金があるわけではない千葉ロッテ、そのチームを強化するために必要なことを考えぬいて得られた『育成』の戦略。それは本の目次を見て項目のシンプルさから伝わってきました。監督、コーチ人事、選手起用、育成と明解な構成で内容は理路整然としている。 最初に太い幹をたて枝葉を広げていく。そんな骨太さがありました。

これまで井口監督がマリーンズを強くなるためにしてきたことが順を追って書かれている。ファンにとってはたまらない内容だが、こんなことを書いていいのか、他のチームに知られたら‥‥、などと心配してしまう項目もありました。
井口さんは、本になり公開されても、チーム力には影響ないという自信に裏付けされていると思った。




本の内容をご紹介(ポイントと思われるところ)




本には以下の論点について書かれています。これは自分も前から知りたいと思っていたことでした。
*下記には「答えは書いていません」ので安心して読んでください。




監督就任までの話:一選手から監督になると失敗する例が多い。井口さんはそう思わなかったという。その理由とは。

マリーンズ球団が取り組むべき意識改革の一歩:「脱、下剋上!」の意味

コーチ人事:今岡真訪、鳥越裕介、吉井理人コーチを招聘した本当の理由

選手起用:良いチームの「バランスの取れた起用法」と井口流の起用法

チーム再編成:2017年監督になってやったこと、試行錯誤のポジション固定

レギュラー争い:レギュラーを取る大変さ、やらせる意味とは

チームの雰囲気を変える:ベテランや移籍の新加入選手がチームに与えてほしいこと

井口野球:「足を使う野球」、「ボール球に手を出さない見極めていこう」の真意とは

長期で勝てるチーム:選手起用方法について

若手の育成:安田育成に込めた思いとは。なぜ使い続けたのか
藤原の長所、佐藤都志也への期待、和田康士朗の可能性、佐々木朗希の未来

3年間のチーム作り:長期的視野を持つことの大切さ。「チームボイス」の発信・ファンとの共有

2021年チームスローガン:「この1点をつかみとる」の意味




ZOZOマリンスタジアム05




この本は井口監督からのギフト




この本は井口さんが千葉ロッテマリーンズ監督就任以来3年間してきた「井口理論にもとづく計画」と「チーム改革の内容」です。彼の千葉ロッテに対する「熱い想い」があふれています。井口監督からのマリーンズファンに対してのギフトだと思いました。




読んでみて自分の中で解決したことをひとつだけ書きます
*若干のネタバレはご容赦ください。
それは若手の起用方法についての『育成の基本的な考え方』です。ドラフトで入った高卒選手の育成について、1年目・2年目・3年目の出場試合含めた経験値の目標があるというのは新聞記事などで知っていました。
計画通り2020年安田は1軍で試合に出場して経験をつみ、貴重なステップをふみました。安田を使い続けた理由は「ボールを見極める力」があったからだという。しっかりとした理由があった。
一方藤原は、コロナ禍によってその育成2年目スケジュールを変更せざるを得なかった。彼の昇格にいたる経過を知って育成方針が綿密に計画されていたことを知りました。結果的に彼は1軍で活躍したわけですが、それは本意ではなかったという事です。
ピンチで若干の計画変更があっても、若手育成方針のベースにあったのはチーム事情よりも、『選手目線』を加えて「選手個々の育成を考える」ことでした。どうしたら「プロで長く活躍できる能力を高めることが出来るか」という姿勢はぶれていなかった。
*若手を見る目には“厳しい監督”であり、“兄貴のようなやさしさ”も感じました。




2020年シーズン、チームの大ピンチにもかかわらず、冷静に選手の状態を見て昇格させ試合で使っていたことに驚きました。
負けが続き苦しいなか、欠けた選手の穴を埋めるべく勝利にこだわり無理な起用をするわけでなく、当初の計画・監督としての「軸」は見失っていなかったわけです。




マリーンズに今まで欠けていたのは長期的な強化計画だと言います。井口監督は 千葉ロッテ監督を受けるにあたり、長期的なチーム強化・育成方針を打ち出したことを知りました。最近までマスコミなどで色々批判もあった佐々木朗希の育成方針も、その軸を基準にしていることを知り納得が出来ました。




とても面白い本でした。色々な疑問に対しての答えがありました。機会があれば是非本を読んでみてください。
井口監督がこれだけ語るのはチーム作りが順調に進んでいる証だと思います。
この本を読んでマリーンズの黄金時代が近いことを確信しました。「マリーンズは1974年以来、パリーグレギュラーシーズンで1度も1位になれていません」




「もう下剋上とは言わせない!」




2021年シーズンのパリーグ制覇』に向けて、みんなで応援・後押ししていきましょう。最後まで読んでいただきありがとうございました。