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翼を広げ飛ぶカモメ

「ヤクルト・スワローズ詩集」一人称単数-村上春樹著-感想


「一人称単数」村上春樹著 文藝春秋刊より




「ヤクルト・スワローズ詩集」は、野球愛があふれていた




村上春樹さんの野球好きがどの程度のものなのか、知識なしに読み始めたのだが、調べる必要は全然なかった。文面から野球愛があふれている。大笑いしてしまう部分もあった。




詩集はご本人の言うように「暇つぶしに詩のようなもの」(野球観戦メモ?)なのでしょうが、そこは村上さんなのでただの詩ではなくて、やはり充分に面白さがある。それは短編小説とは違うけれども。詩の中の比喩としての『たとえ』が冴えていると思いました。




前半は、小さいときの虎ファンからなぜ「サンケイ・アトムズ」ファンになったのかから始まって、詩を書いている理由、家族との野球についての思い出などが書かれていて、とても興味深かったです。




「野球ファン」「観戦好き」「ヤクルト愛」というのが強烈に伝わってきた文章があった。それはもう小説の最後の方で、甲子園の外野席で阪神=ヤクルト戦を観戦したときの話だ。詩は「海流の中の島」です。う~ん、『一人でアウェイ球場に観戦に行くとそうなるなあ」比喩が楽しくて共感しました。そのあとの黒ビールの売り子の話も楽しい。




自分が初めて明治神宮野球に行った話




野村監督も2020年2月11日にお亡くなりになった。本当に残念です。「野球に対峙する真剣な姿勢と苦言・指導」は多くの野球人を育てました。
丁度野村監督がヤクルトを優勝に導いていた時に、自分はヤクルトファンではなかったのですが、神宮球場第2グランド(練習グランド?)に行ったことがありました。
神宮球場のすぐ横にある第2グランドでは、1軍の選手が試合前の練習をしていて球場のライト塀越しに、古田の遠投練習を見た記憶があります。
そのころは某人気球団がお金を使い大型補強で強くしていた時期でもあり、自分は何か野球観戦にも冷めていました。自分が神宮に行ったときは、1軍の選手の練習が、球場の外で塀一つ隔てただけで観れるなんて「随分と親しみやすい(緩い)球団だな」と思いました。
帰り際に偶然に野村監督が歩いてくるのと出会いました。球場の外周の通路を数人のスポーツ担当記者に囲まれて、取材がてら歩いてきたのですが、すれ違った後振り返ったら、熊のような体形の野村監督が、ガニマタで「のしのし」と歩く様子が妙におかしくて後々まで目に残りました。ホントにテレビで見る監督イメージ、そのものでした。




自分の記憶を長々と書いてしまいました。ヤクルトスワローズの詩にはそんな自分の記憶と重なる点もありました。
この小説は、村上春樹さんの豊かなユーモアのセンスと視点の面白さを味わえました。

この本にも書かれていますが、「ヤクルト・スワローズ詩集」は1982年に刊行されているそうです。




この小説の詩に出てくる球団・選手名から時代を調べてみた




「右翼手」に登場するサンケイアトムズは、1966年~1969年のチーム名。少年野球ファンを開拓するために当時人気の「鉄腕アトム」をペットマークにしたそうです。

「外野手のお尻」に登場するジョン・スコットは1971~1981まで在籍、スリムで足の長い黒人選手で守備のいい選手。故障するまで2年半で打率262。265安打、159打点、本塁打48本といい選手だったようです。

「海流の中の島」を書いたときに観戦したヤクルトメンバーは、野村監督、古田、池山、宮本、稲葉であると書いています。
ヤクルトが野村監督でセリーグを制覇したのは1992,1993,1995,1997ですので、時代はこのあたりでしょうか。