別役実のコント教室-不条理な笑いへのレッスン-本-感想1

*「別役実のコント教室」-不条理な笑いへのレッスン 白水社刊
を読んだ感想になります。

この教室のレッスンの流れ

「コント・喜劇」について実践的なレッスンをしています。7日間のセミナーのような形式で、生徒さんの作品の添削していくことでその批評と別役さんの講義から構成されています。

*この手の本は、生徒の作品の説明・添削に偏りがちで、肝心な作家さんの文章の書き方や考え方を明らかにしていない、そのため意外に肩透かしのことも多い。
しかしこの本は生徒さんの良いところも足りないところも明らかにし、先生の書き方の講義もあります。

別役さんの講義は、「コントと喜劇の書き方論」ですが、書き方は個人の感覚で変わるものなので一般的な方法論になっています。自分にも参考にしたいヒントが沢山ありました。以下気になった点をまとめてみました。

とくにためになった作者の教室のレッスン【ポイント】を抜き出して、自分の感想を加えています。(注意)本の構成とは異なります。

レッスン【400字詰め原稿用紙で1万枚】

・劇作家になるためには、書くことが大切であること、他人の目に触れさせる必要があること、400字詰めの原稿用紙で1万枚を書くとプロになる。

【感想】

1万枚というのは4百万文字です。このブログが今140記事なので、1記事1500文字で計算すると210,000文字です。4百万までいくのには、記事が19倍必要です。ということは2,660記事が必要という事です。
書きつづけることだけでも大変です。プロとは凄いです。
*自分は面白いだろうと思う文章を気ままに書き続けていくつもりです。

レッスン【ジョーク集や一コマ漫画集を参考に】

日常的にやってほしいこととして、創作で迷ったらジョーク集を見てほしい。書けるようになった時に精神の運動神経(軽やかさ・リズム感)を取り戻すのにいいそうです。

一コマ漫画は、コントを書く場合の典型的な状況のモデルになるといいます。例えば「孤島もの」「刑事もの」「病院もの」とか典型的な状況の分類があるという。
この分類の中に「笑いというものをつくり出す場合の基本形」があるといいます。

【感想】

自分的にはジョークは日本人の文化に合うかと言われると懐疑的です、芸能人でジョーク芸人というのは、あまり聞いたことないですし、芸能ワクにもなさそうです。個人的には日本人の笑いとは少し異なると思います。
一コマ漫画はドラマになりやすい状況設定(設定~展開~落ち)として活用したいと思いました。

レッスン【いかがわしさの精神】

「創作行為のいかがわしさを再認識したい」コントを書く上で大切であるといいます。
今でこそ喜劇作家は表街道にいますが、もともとは『錬金術家的ないかがわしさの精神』の上に成立していたそうです。

虚構をでっちあげるとか、そこで人を笑わせて見せるエネルギーの根源は、その『いかがわしさの精神』の中にある。
書く人が自分の中に在るそういった精神を感覚的にとらえて自覚することが必要だろうと言います。

【感想】

同感です。本来物語はエンターテイメントであり日記ではないので、読者がコントに求めるのは非日常(虚構)だと思います。
『自分の中のいかがわしい部分』をしっかりと意識してそれを正しい文章で伝わるように書くこと、だと解釈しました。
自分らしい笑いのツボを作ること、難しいですがこれが自覚出来て文章で表現できれば、自分らしいオリジナルの物語ができそうです。

レッスン【うその創造性】

物語には「ウソ」が必要だと言います。うそつきの精神を養う事が大事。
「うその創造性が出来る」と精神的な飛躍がかなり楽にできるようになるとのこと。

【感想】

このあたりの説明が具体的で面白いです。何か自分でもできそうな気持になりました。
この本でいう「ウソ」とは、上手に出来ていてあとで回収できるウソと解釈しました。
これも難易度高いと思います。
回収できないウソ、いい加減なウソはいくらでも出てくるのですが‥。

レッスン【生徒さんの作品(習作)をもとに解説】

先生の出した課題は「死体」です。
どの作品も発想がユニークで、展開からオチまで随分と人によって変わるものだと思いました。
この課題を作成するポイントを挙げています。
・発想(アイディア)をどう展開していくか(見せていくか)
・説明調にならないように注意する事

・前後の脈絡をつけることとあえて外すところのバランスをとること。そこにテクニックがある。

色々登場人物を沢山出したり、反対に一人でやるよりは二人でやるのがベースとしてやりやすいという事も言っています。一人だとかえって複雑になってむずかしいとのこと。

【感想】

展開をエスカレートすることの大切さや、感覚的なセンスを大事にすることなど、なるほどと思いました。登場人物を二人に絞ることで物語をシンプルにつくる練習をしてみたいです。

*面白くて勉強になるレッスンがありました。生徒さんの作品も、自分の作品にかさねてみると参考になります。他の人に伝わるセリフ・構成の難しさを新めて知りました。
*ここまでが前半になります。

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