「促進区域」に国が指定することで合意-銚子沖-洋上風力発電

令和2年6月8日朝日新聞朝刊に、銚子沖の洋上風力発電について最新情報が載っていました。

「銚子沖の洋上風力発電整備の協議会が6月4日に開かれ、銚子沖の洋上風力発電を『促進区域』に国が指定することで合意した」という新聞記事がありました。
早ければ今年の秋にも指定され、優先的に事業をすすめる事業者が公募で選ばれることになります。

全国にある「促進地域」の有望地には、銚子沖の他に、秋田県「能代市・三種町・男鹿市沖」と同県「由利本荘市沖」、長崎県「五島市沖」の3区域も選ばれていて、地元合意もなされています。
「五島市沖」は昨年12月「促進区域の有望地」に初指定されています。

銚子沖は促進地域の有望地のなかで一番首都圏に近いので、地元では地域活性化への期待が高まっています。

朝日新聞令和2年2月22日朝刊に載っていた「秋田県の洋上風力発電計画について」の現状報告記事

秋田県の日本海側、南北約170キロの地域が洋上風力発電の「有望」な区域として計画がすすんでいます。秋田県は「能代市・三種町・男鹿市沖」と「由利本荘市沖」の2カ所と、ほかに近隣に2カ所すすめている。この2カ所を加え沿岸4カ所で実現すると最大200万キロワットを見込んでいる。
これは原子力発電所の2基分に相当するという。

秋田県はすでに陸上風力の風車が288基あり57.6万キロワットの発電能力をほこり、全国でもトップ。
*秋田県は陸上風力と洋上風力発電、両方とも先行している県なんですね。

銚子の「洋上風力発電計画の促進区域」は名洗港南西海域で約3950ヘクタール、想定出力量は試算で47万キロワット程度を見込んでいます。環境や規模の違いはありますが、同じ「有望区域」として進捗状況が気になります。

洋上風力発電設備の部品数は、1万点~2万点と多く事業規模も数千億円に達する場合もあり、「施設建設・運転・保守点検」など地域経済で連携できる業界への波及も大きい。秋田県内では、実際に動き出している企業もあります。
一方地域経済への効果を不安視する意見もあります。
その理由として、日本国内では風車製造の中心メーカーが撤退している。仮に海外メーカー製品を導入した場合は企業秘密などの壁や連携の難しさがある。また地元企業は部品・メンテナンスなどで国内大手企業との競争になることも想定される。地元企業がどこまで食い込めるのかは予断を許さないからです。

秋田市や地元企業は、この洋上風力発電事業が「場所貸し」だけにならないように、どうしたら地元経済に貢献する事業として根づくのかを模索しているそうです。

洋上風力事業で選ばれる発電事業者は、最大30年間の海域占有を認められ、施設整備を優先的にすすめることができます。

*広報ちょうし2020.1に、銚子市の洋上風力発電『30年の占有期間』について説明が書いてありました。
最初からのスケジュールですが、まず「環境アセスメント」に約4~5年、「建設工事」に約2~3年、「事業実施」に約20年、「撤去」に約2年という予定ということです。

今年の秋以降、銚子が有望区域に国から指定されたら民間事業者を公募するわけですが、その「事業者の選考基準」が示されています。

・銚子市や旭市がつくる基金と県漁業振興基金に資金を拠出する
漁業関係者やすでに風力発電設備を置く東京電力を十分協議する。
・国の名勝地で天然記念物「屛風ヶ浦」の景観に配慮する。
・建設する際は地元の雇用を増やす
・希少な鳥類の生息や海流といった環境に配慮すること
などが求められます。

銚子市の名洗港南西の海域に、数年後の「再生可能エネルギーの畑」が誕生に向けての計画が、動きはじめました。

銚子沖の洋上風力発電設備は「世界初の太平洋に設置された沖合洋上風力発電」になります。
太平洋の様々な厳しい自然環境も待ち受けています。また秋田県の計画状況でも報告があるように、設備の建設・部品供給・運転保守点検など地元の経済にどう結び付けていくのかも大きな課題になりそうです。

今年感染症の影響で数か月先進国など経済活動が止まりました。
地球環境が改善しているというニュースも聞きます。

経済優先で地球環境を守らないと、多岐に影響がでてくるのは間違えなさそうです。
地域の産業との共存共栄ができる。環境にやさしいエネルギーが増えてほしいと思います。