銚子沖洋上風力発電-2022-23年リポート
2022年国や県も参画する巨大プロジェクト“銚子市沖の洋上風力発電”が動き始めました。
現状でわかることを調べてみました。

銚子沖洋上風力発電:事業体選定までの経過
平成25年3月:銚子市の沖合約3kmの海上で洋上風力発電の実証実験が始まる。
令和2年7月:銚子市沖が洋上風力発電「促進区域」に。
令和3年12月:銚子市沖促進区域における洋上風力発電事業者が選定される。

銚子市沖の洋上風力発電は、三菱商事グループなどでつくる事業体が選定された。
*2022年7月7日朝日新聞朝刊ちば版より引用
2025年から送電線などの陸上工事に、27年から洋上工事に着手し、28年9月の運転開始を目指している。
海面から高さ250メートルほどの風車31基を整備し、出力は約39万キロワットで、約25万世帯分の電力に相当する。

上記図の洋上風車大きさ(海面から126m)は、現在ある風車のものです。
28年から作られる風車は“海面から250メートル”とありますので、今ある発電設備の倍くらいの大きさになるという事です。(ちなみに銚子ポートタワーは高さ57.7m、現在の洋上風車でも倍以上。かなり大きいです。)
広報ちょうし:洋上風力発電についての宣言
洋上風力発電は、20年以上にわたって実施される事業です。運転管理やメンテナンス関連企業の誘致や地元企業の活用、新たな雇用の創出が期待できます。
*広報ちょうし令和5年1月号より引用
昨年11月の千葉市で行われた会議では、発電事業者は協力会社への出向による技術習得など、具体的な人材育成方針を示しました。
「持続可能な漁業支援体制の構築」「地域産業・雇用の振興」「住民生活の支援」、地域共生策の3つの方針も示されました。発電事業者と連携を図り、次代につなぐまちづくりを進めてまいります。
三菱商事エナジーソリューションズ:地元住民対象の説明会を開催
2022年4月に千葉科学大学において「三菱商事エナジーソリューションズ」が、建設を前にして地元住民対象の説明会を開きました。

【説明会の内容】
・地域の魅力発信/交流人口の創出
・漁業のDX化、ICT活用推進
・メンテナンス事業の現地化/C-COWS成長支援
・漁業共生センターとの連携/漁場創造施策の実施
・地域共生施策“つぎ”を創る、景観に対する配慮
・環境全般に対する配慮
・名洗港の有効活用
・工事実施の方法(風車・基礎・海底ケーブル)
・工事実施の方法(陸上送変電設備)
・工事概要、海底地盤調査、設備・事業概要(予定)
・再エネ導入促進の流れ、
など事業全体の計画を説明するものでした。
(質疑応答の時間もありました)
【用語について簡単に調べました】
・DX(デジタルトランスフォーメーション)
「情報技術の浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という仮説。
(Wikipediaを参考にしました)
・ICT(インフォメーションテクノロジー、情報通信技術の略語)
「IT技術を使って人間同士のコミュニケーションを手助けしたり、どのようにして人々の暮らしを豊かにしていくか」という活用方法に関しての考え方。
・C-COWS(銚子協同事業C-COWSオフショアウインドサービス株式会社)
「銚子地域に洋上風力産業を構築し、大規模発電事業を継続して支える。」
風力発電機のメンテナンスを通じて、地元雇用の創出など、漁業との共存・共生、洋上風力発電の利益を地域全体に広く還元し、地域社会を活性化していくことを使命とし、事業を推進していきます。
(C-COWSのホームページより引用)
7月に地元の銚子市漁業協同組合が周辺海域の漁場実態調査を開始。
今後3年間にわたって調べ、風車の周辺に魚が集まる「漁礁」を作るなど漁業との共存共栄をめざしていくという。
調査を行うのは「渋谷潜水工業」(本社は神奈川県平塚市)で、5月から開始している。
渋谷潜水工業は長崎県五島市沖の「浮体式」洋上風力発電事業でも調査をしている。
五島では漁礁を設置し新たな漁場を作った実績もあり、「着床式」は銚子が最初で、更なる成果を生みたいと意気込む。
今回の調査は事業体の基金が活用される。
銚子市は、漁業との共生と景観の保全も重視している。
*記事の内容については、2022年7月7日朝日新聞ちば版より引用・参考にしました。
・9月に銚子市沖洋上風力発電事業「発注業者説明会(陸上工事)」を開催。
・12月に銚子市沖洋上風力発電事業「発注業者説明会(風車関連部材)」を開催。
名洗港は(洋上風力発電)整備港として着々と整備されています。
「名洗港の概要」について千葉県のWEBに詳しく書いてありましたのでご紹介します。
【3.1 名洗港の概要】
*令和4年3月千葉県県土整備部港湾課「名洗港港湾計画の改定について 地方港湾審議会資料」より
・名洗港の背後地には、名洗臨海工業団地が立地し、水産品加工を中心と食品加工産業が集積している。
・屛風ヶ浦や犬岩は「銚子ジオパーク」の名所であり、豊かな自然を活かした観光資源に恵まれている。また、プレジャーボートの拠点である銚子マリーナ海水浴場などの海洋性レクリエーション施設が立地する。
・名勝および天然記念物として国に指定された「屛風ヶ浦」など、歴史ある自然景観の残る港湾である。
・小型船舶の避難泊地を確保するための防波堤が整備されている。
下記の写真は2023年1月の名洗港の様子です。

看板によると、工事は名洗港整備に伴う被覆ブロック製作のため、令和4年11月から令和5年3月20日までの予定と書いてありました。

「銚子市沖洋上風力発電」は上記写真の中央右寄りの海上にあります。
小さくてスイマセン(~_~;)、沖合3kmのところにあるので結構遠いのです。
先行する「秋田県沖大規模洋上風力発電」
【大規模洋上風力、営業運転始まる 秋田県沖】
*令和4年12月23日朝日新聞朝刊より引用
日本で初めての大規模な洋上風力発電所が(12月)22日、秋田県沖で営業運転を始めた。(中略)
大手商社の丸紅、大林組、東北電力など13社が出資してつくる秋田洋上風力発電(秋田市、AOW)が建設した発電所。
海面から羽根の先端までの高さが150メートルある風車が計33基、秋田港と能代港の沖合数百メートル~1キロ前後に立ち並び、まず能代港の風車20基が22日午前0時に営業運転を始めた。(中略)
投じた事業費は計約1千億円。風車1基当たりの発電能力は4200キロワットで、33基の合計で約14万キロワット。一般家庭約13万世帯分の電気がまかなえる。
秋田県沖大規模洋上風力発電は「着床式」です。
銚子市洋上風力発電は、2028年9月の運転開始を目指して本格的に始動しました。
まずは名洗港の基礎・整備が始まり、2025年から送電線などの陸上工事、2027年から洋上工事に着手と予定されています。
どう銚子が変わっていくのか、とても楽しみです。
洋上風力発電事業の経過については逐次リポートしていきたいと思います。
このブログ内で洋上風力発電について色々記事を書いています。よろしかったら読んでみてください。
*最後までお読みいただきありがとうございました。