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銚子沖洋上風力発電設備-4

「官民あげた洋上風力発電プロジェクト加速」-日本-欧州-秋田県沖-銚子沖-2020-21


日本の2020から2021にかけての「洋上風力発電事業についてのニュース」をまとめてみました。日本国内の動き、欧州の現状、日本のエネルギー政策、海外メーカー進出、国内ゼネコンなどの動きなどを中心に書いています。一部秋田県沖・千葉県銚子沖の洋上風力に関してのニュースもあります。
*主に朝日新聞記事(政府発表含む)毎日新聞、WEBニュースなどを元に構成しています。







【洋上風力発電の事業者選定手続き開始】




2020年11月、経済産業省・国土交通省は秋田県と千葉県の4区域での洋上風力発電(着床式)の事業者選定手続きを開始した。
国が主導している洋上風力発事業が動き始めている。




【秋田県の洋上風力事業者募集に参入表明相次ぐ】




秋田は能代市・三種町・男鹿市沖と、由利本荘市沖の北側と南側の計3海域が2020年7月に促進地域に指定されている。他にも2海域が指定に向けての準備がすすむ。遠浅で施設も設置しやすい好条件の地域であり、12月18日までに10事業体が計画を表明し、熱視線が注がれている。
*毎日新聞(2021年1月6日)より




【銚子市沖洋上風力発電事業者公募開始】




令和2年7月21日に銚子市沖は「千葉県銚子市沖に係る促進区域」に指定された。これで長期間にわたって安定的な洋上風力発電が可能になる。
洋上風力事業者公募に先立ち、11月22日に公募参加予定事業者を対象とした公募前説明会が開かれ、参加を検討する25社が出席した。公募占用指針が定めれらたことにより、11月27日に発電事業者の公募が始まった。




【長崎県対馬市、洋上風力導入を目指す】




2020-12長崎新聞発表
対馬市は洋上風力導入検討へ
対馬市議会において、対馬市比田市長は長崎県と対馬市が昨年度から共同で進めている「洋上風力発電ゾーニング導入可能性検討事業」に関して、対馬沖を本年度末までに「導入可能性エリア」に設定して、国による「促進区域の指定」を目指す方針であることを行政報告で示した。
対馬は強い海風があり、持続型社会を構築するモデルを目指している。
*長崎県では2019年末に、五島市沖が全国で初めての促進区域に指定されている。




欧州の洋上風力発電の現況




【欧州の新規導入容量】




欧州の状況は沖合に設置する「洋上風力発電」の普及が急速に進んでいるという。陸上風力発電の新規導入容量はここ10年間は年1000万キロワット前後で大きな増減はないが、洋上風力発電の新規導入容量は2009年の60万ワットから2019年には360万ワットと大幅に増加している。




【陸上風力の抱える問題】




欧州では陸上風力の巨大化による問題が大きくなっている。
近年になって、巨大風車を何十基も建てる「陸上風力」に対しての住民の反発が強まっているという。(ドイツでは住宅地にも多数の風車がたち、騒音・環境破壊などを理由として訴訟が出ている)*2020年ニュース記事(ベルリン時事)
日本でも秋田県内で「陸上風力」拡大に対して一部反対の声もある。




【洋上風力発電のコスト低下】




欧州では洋上風力は発電コストの低下が進んでいる。2019年時点で1000キロワット時あたり約80ドル(約8300円、1キロワットあたり8.3円)になってきた。10年間で約半分になっている。
*2020年ニュース記事(ベルリン時事)。データーは欧州の風力発電業界団体「ウィンドヨーロッパ」。




欧州連合(EU)の洋上風力発電計画




域内の洋上風力の総発電能力を、現在の1200万キロワットから2030年までに6000万キロワット、2050年までに3億キロワットに増やす計画を発表した。




【欧州企業の日本での動き】




日本が洋上風力発電を国の主力電源に育てていく計画を出したことに対して、欧州企業は日本の風力発電設備の市場に大きな注目があつまっている。




【秋田県沖の洋上風力関連ニュース】
2020年9月、ノルウェーの大手会社「エクイノール」は、JERA【ジェラ】(東京電力グループと中部電力の共同出資会社)などと、秋田県沖での洋上風力事業に向けて企業連合を設立すると発表した。




【千葉県銚子沖洋上風力関連ニュース】
2020年3月、デンマークのオーステッド(洋上風力世界最大手)は東京電力と千葉県銚子沖での洋上風力事業を推進する共同出資会社「銚子ウィンドファーム株式会社」の設立で合意したと発表した。




【日本メーカーの動き】




2020-12月共同通信取材より
東芝は車谷社長が再生可能エネルギー事業に注力する方針を示し、洋上風力発電の参入にも意欲を示した。脱炭素社会の実現に向けた取り組みを加速する。
東芝は再エネ関連で、2030年度の売上高を2019年度に比べて約3.4倍の6500億円に引き上げることを目指すとしている。
洋上風力は政府が2021年5月まで秋田県沖などで発電事業者を公募している。東芝は風車製造などを手掛けたい考えをもっている。
*日本国内に洋上風力発電設備メーカーが存在しないのが進まない理由の一つでした。東芝の動きは日本の洋上風力発電拡大に向けてとてもいいニュースです。








日本政府の動き




【温暖化ガス排出量ゼロに向けた動き加速】




2020年12月25日に2050年の温暖化ガス排出量実質ゼロにむけた工程表と位置づけ、各分野の具体的な計画を発表した。




【14分野でグリーン戦略を進める】




エネルギー部門に洋上風力・水素・アンモニアと3分野が入った。水素とアンモニアは火力発電の燃料として活用する。
特に洋上風力に重点を置く。理由は国内が欧州に比べて普及が遅れていることで潜在的な拡大の余地が大きいためとしている。
先行する欧州ではすでに2000万キロワットを越えている。日本の現状は1万~2万キロワット程度である。(ちなみに2013年の日本の陸上風力は全国で261万キロワット(NEDO)




【洋上風力事業の長期目標】




政府は長期目標を掲げて企業が投資やすくして産業を育てようとしている。2020年12月15日の官民協議会では、洋上風力による発電能力を2040年までに3000~4500万キロワット(およそ原発30~45基分)とする目標を決めた。




【地域ごとの導入の目安量】




2040年までに国内9地域ごとの導入目安を示した。
北海道で最大1465万キロワット
東北で最大900万キロワット
東京で最大370万キロワット
中部で最大135万キロワット
北陸で最大130万キロワット
関西で最大90万キロワット
中国で最大50万キロワット
四国で最大170万キロワット
九州で最大1190万キロワット







【様々な課題】




送電線
北海道・東北・九州で最大3555万キロワット(全体最大目標の79%)と多くの発電を見込んでいる。地方でつくった電気をどうやって消費地に運ぶのかが大きな課題になっている。都市部まで電気を送る送電網をどう確保するかについてはこれからになる。




部品の調達
また風車の製造については、日本メーカーはすべて撤退しているので産業の育成が必要で、建設工事などを含めて総費用における国内からの調達比率の目標として2040年に60%にすることを目指している。




候補地選び
また政府は候補地選びを早く進めるためにも、国が初期段階から同一地域の風況調査や環境アセス、送電線の確保などに関与して主導する仕組みを導入するという。




発電コスト目標
発電コストについては、2030~35年までに1キロワット時当たり8~9円まで下げることを目指す。
*前出の欧州記事にありましたが、欧州は発電コストが1キロワット当たり8.3円まで落ちてきている。




【経済産業省の電源構成案(12月21日予算案)】




再生可能エネの電源に占める割合は2050年に5~6割と現状の3倍前後、二酸化炭素の回収をセットにした火力と原子力は計3~4割、水素とアンモニアで計1割としている。
新年度予算での洋上風力の関連事業は、海域の調査や風車部品の高度化に向けた技術開発などである。




【2020-21年国内各ゼネコンの動き】




各社が狙うのは、事業者・EPCI(設計・調達・施工・据え付け)など。具体的にはSEP(自己昇降式作業台)船の建造・技術開発。




五洋建設と大林組はそれぞれ他社と共同でSEP船を建造中。清水建設も22年10月にSEP船を建造・完成する予定。戸田建設は浮体式洋上風力発電設備を実用化済み。
他のゼネコン各社も洋上風力体制を強化。基礎工法の確立や施工能力の向上にむけ技術開発を加速。また海外の企業との業務連携や業界の枠を超えた連携も視野に入れているという。
*日刊建設工業新聞(2021年1月5日)WEB版より




最後に




風力はエネルギーが稀薄であるため、設備利用率が低い。そのため効率よく発電量を上げようとすると、大量で大型の風力発電機を必要とする。陸上風力発電機を大量に作るには風車の間隔を空けないといけないので、広大な土地が必要になる。
*物理法則に基づくと、風車の間隔は一般的に回転翼の直径の7倍の間隔を空ける必要があるとされている。
一番効率がいいのは山の尾根が一番いいらしいのですが、日本は森林におおわれていて狭い。自然景観の破壊や送電設備・送電線などの点から限界があると言われています。(広い土地を占有して、多くの土地を横切る送電線が必要)




日本は四方を海に囲まれていて、洋上風力発電に高いポテンシャルがある。そこで海上(海岸から遠くない場所)がターゲットになり、洋上風力事業が最適であるという意見が多くなってきた。
海上は陸上より強い風がふいて建設もしやすい。当然ですが課題もあり、欧州に比べて海岸沿いの海底に硬い岩盤があまりないといわれている。今後の詳細な調査が必要になっている。




『設備利用率』とは
ある発電機の1年間の実際の発電量(kWh)を その発電機の理論的な最大能力で回転させたときの発電量で割ったもの。(ドイツ陸上風力の例では20%以下)
*上記記事は「日本と世界の『発電』地図帳」文芸評論社刊より引用・参考にしました。




日本は各都市に人口が集中しているので、風力発電も政府の計画を見ても分かるように地方に沢山作らないといけない。地方の経済活性化のためにはとても役立つと思います。
ただエネルギー消費地は首都圏が多いので、地方から電気を運ぶ送電網の整備が必要。現在の電気は供給電力と消費電力のバランスで運用しているなか、変動の大きい再生可能エネルギーをどういう風に取り込んでいくのかも大きな課題になってくるとのこと。




国も地方にお金を投入し、地方を活性化する流れになってきました。国土の資源を最大限に活用して、部品メーカーが生まれ、地方の雇用を生み出す。国が総力をあげて新しい産業を生み出す。巨大なプロジェクトが加速してきました。今後の政策とリーダーシップがとても大事になると思いました。

*個人で集めた情報なので、足りない点は多々あったと思います。足りない部分は政府広報・各社HPなどで確認ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。