銚子市沖が「洋上風力発電」事業推進する有望な区域に選ばれた

銚子市の重点プロジェクト

銚子市が重点プロジェクトとして、本格的な『洋上風力発電導入』を目指して、ここ数年間実証実験していたことをご存じでしょうか?

実験・研究の結果、令和元年7月経済産業省及び国土交通省より「銚子市沖」が洋上風力発電事業を推進するための促進区域の指定に向けた「有望な区域」に選定されたのです。

過去の洋上風力発電は、日本政府が2010年に「新成長戦略」「日本再生戦略」に盛り込まれた方針で始まりました。内閣官房総合海洋政策本部事務局が、2010年に洋上風力発電に適した海域マップを作成し、それによると日本列島周辺は風力発電に適した海域がかなりあることが分かっています。

2012年当時、日本にある洋上風力発電設備は3カ所でした。
それは北海道瀬棚町に2基、山形県酒田市に5基、茨城県神栖市に7基の合計14基です。

当時欧州、米国、中国では風力発電が大きな潮流となっていました。
日本は戦略の策定から約10年がたち、実証実験・研究が終わり本格的に洋上風力発電が先にすすむ段階に来ているという事です。

2019年7月30日、経済産業省と国土交通省が洋上風力発電の開発を積極的に進める「有望な4区域」として、下記の4地域を選びました

・千葉県銚子沖
・秋田県能代市男鹿市沖
・秋田県由利本荘市沖
・長崎県五島市沖

今回の有望区域選定は「再エネ海域利用法」(海洋再生エネルギー発電設備の整備に係わる海域の利用の促進に関する法律・平成30年12月公布)に基づき、地元合意など環境整備が進んでいる4区域を有望としたものです。

*再エネ海域利用法の運用内での「着床式洋上風力発電導入の目あす」は、下記の2つです。
「水深30m以浅」
「年平均風速7.0m/s以上」

今後法定協議会等の協議を経て「促進区域の指定」、そののち「公募による事業者の選定」を行うことになります。
選定された事業者は最大30年間の海域の占有が認められることになります。

銚子市は財政再建が最大の課題であり、この洋上風力発電の誘致は、正式に選定されれば「地域活性化から財政健全化への道筋としてとても有望」な事業(発電事業、設備維持管理、名洗港整備など)になるわけです。

いまこそ銚子の地域特性を生かすチャンスがきている

洋上風力発電導入にさいして銚子の良いところは何でしょう?

・風が安定して吹く:銚子市の南沖合は年間を通じて強い風が吹いています。
(銚子市南沖有望区域の風速は7.0~8.0m/s)

・屏風ヶ浦の沖合は数キロ先まで遠浅が続いていて、海底に固定する「着床式」の洋上発電施設が設置しやすい。(銚子市南沖の離岸距離は3.1km)

・東京電力との実証実験をしてきている。
*その結果については次のコーナーで書いています。

・東京という大電力の消費地に近いと言うこと。つまり再生可能エネルギーの受け入れが可能であること。(受け入れが少ないと電力会社間で電力の融通を可能にする幹線を増設する必要が出てくる)

・送電線を整備する必要もない。

・整備のための港も用意できる。(名洗港を予定している)

・現地漁業従事者との利用調整ができている。

銚子の洋上風力発電機はどこにあるのか

銚子市の南沖合3kmの地点にあります。屏風ヶ浦が並ぶその南側です。
銚子の犬吠埼灯台に行くときに、ドーバーラインを通過した方であれば一度は目にされているのではないでしょうか。

*左が洋上風況観測タワー、右が洋上風車になります。

銚子沖洋上風力発電遠景-ドーバーラインより

銚子にある洋上風力発電とはどのようなものなのか

銚子沖洋上風力発電設備

銚子沖での東京電力と東京大学が主体で行った実証実験内容と結果について少し調べてみました

銚子沖で平成22年度から東京電力と東京大学が共同で風況観測タワーを設置して、風況を観測する風況観測システムの実証実験が始まった。
風況観測システムは風力発電機とほぼ同じ地点の近い距離に設置された。平成24年度(2013)には風車が建設され発電システムの実証実験が開始された。

以下が簡単な説明です。

洋上風況観測の実証実験
・平成21年8月から平成29年3月まで。
・洋上風況観測タワー仕様:鋼管トラス構造、海面からの高さ約95m。
風速・風向・気圧・雨量計、レーダーなど観測装置

洋上風力発電の実証実験
・平成22年5月から平成29年3月まで。
・銚子屏風浦沖合3.1kmの地点
・着底式洋上風力発電設備、ナセル中心高さ(海面から)約80m、羽の直径約92m
・洋上風車仕様:三菱重工MWT92/2.4洋上仕様(発電容量2.4メガワット

東京電力と東京大学が実証実験を行って出た研究成果は、洋上風況観測システム実証研究、洋上風力発電システム実証研究、環境影響調査などの沢山の観測データーや調査に基づいて評価・検証がまとめられました。平成29年9月に報告会にて発表されたそうです。

銚子市沖に洋上風量発電が立ち並ぶ風景が、実現可能な未来になってきました。
「再生可能エネルギーの畑」が事業として成り立った時、銚子がどう変わっていくのかとても楽しみです。

*「洋上風力発電」次世代エネルギーの切り札 岩本晃一著 B&Tブックス 日刊工業新聞社を参考にしました。
*銚子市役所、「広報ちょうし2020.1」、企画財政課洋上風力推進室作成の「洋上風力発電事業について」。また推進室提供の「実証研究報告会資料」を参考にいたしました。