【本のレビュー】1秒で答えをつくる力-本多正織著-感想-頭の回転を速くするレッスン

*「1秒で答えをつくる力」本多正織著 ダイヤモンド社刊を読んだ感想になります。

漫才作家であり吉本興業NSC講師でもある「本多正織さん」が、お笑いを目指す若者を指導する際に講義している内容を本にしたものです。
本多さんは30年間で1万人のお笑い芸人を育てた凄い人。
ワークショップのレッスンも多くあり、役立つ本だと思いました。
お笑い世界の裏話も随所に触れられていて、興味深く・楽しく読みました。
*NSCとは吉本総合芸能学院のこと。

「1秒で答えをつくる力」とは、頭の回転を速くすること。

「芸人の評価は1秒で決まる」
う~ん、厳しい言葉だなあと思いました。実際にお笑いの世界ではそうなのでしょう。
この本は吉本興業NSC講師でもある「本多正織さん」が、お笑いを目指してNSCに入ってきた若者に対して教えたことをベースにてしています。

本の冒頭にて、お笑いの業界では、1秒で答えが求められる位の“頭の回転の速さが求められている”といいます。この本の中には頭を上手に速く働かせるためのレッスン48項目が書かれています。ビジネスににも応用できるとあります。

「お笑いのスキルは(一般の)仕事の役にたつ」、確かに広義にとらえるとそうなのかなとおもいます。しかしお笑いと一般の仕事では目的も方向も違うので、そのまますべてを利用するのもおかしい。近い部分と少し離れている部分とあると思います。

そこで私の社会人経験から仕事にいかせるのはどういうところだろう、という視点で本の中のレッスンをあげてみました。自分はどう思うか、どうしたいかを考える機会になっていれば嬉しいです。

【注】若干ネタバレあります。
参考になるかどうかはわかりません。あくまでも個人的な意見です。

仕事に応用できるレッスン

レッスン1、能動的に反応できる頭になる。
*ニュースなど情報に対して能動的にかかわり、自分なりの意見を持っていること。

レッスン5、思考に「締切」を設ける。
*(思考に)正確を求めすぎない。ステップを踏んで、短時間で自分が納得できるものを仕上げる。

レッスン7、分けて考えて整理する。
*なんでもかんでも手を拡げない。「自分がこなせる範囲」で仕事をこなす。

レッスン15、頭をアイドリング状態に保つ。
*すでに準備しておいたことを素早く表現する速さ。

レッスン17、ネガティブをポジティブに変換する。

レッスン19、予測するクセをつける。
*相手の様子や性格、その場の雰囲気など状況を前もって予測しておく。

レッスン20、結論から逆算して話す。
*「何を一番伝えたいのか」が重要。そこが伝わるように話を組み立てて進める。

レッスン22、発想するときに論理的に考える。
*発想とはゼロから考えるということではない。

レッスン28、経験を自分の引き出しとしてストックする

レッスン36、2種類の「準備」を使い分ける。
*準備には「専門性を高める準備」と「平均値をあげる準備」がある。

レッスン42、会話の温度を大切にする。

レッスン44、「共感」が決め手になる。

【注】上記以外にも沢山のレッスンがあります。
今回ご紹介していないのは以下の理由です。
・「非常識」「うまいことをいう」「自分のペース」などは、普通にお客様相手に使うには少々難しいと思われる。
・個々人のキャラクターを出す、会話で相手を楽しませる、などは個人的な話になりがち、仕事の現場に持ち込むとリスクもある。
*もちろん企画を練る時などの社内の会話においては使えます。
また打ち合わせなどをスムーズにしたり、上司に評価されたりという効果はあります。

感想

お笑い業界の教科書を通して読んでみて、一般の仕事ですぐに使えると思ったのは以下の三点です。
それは「論理的に考える事」、「平均点をとること」、「準備をすること」の大切さです。

社会人としては当たり前のことですが、これを続けることが大事なのではないかと思います。

ただお笑いの業界としてはこれだけでは足りません、またレッスン内容もプラスしないといけない。
お笑い芸人が準備を細かく行い理路整然と話をしていても、フリであればおもしろいのでしょうが、やり過ぎてしまったらお客様は離れていってしまうでしょう。
そういう点では論理的過ぎてもいけない準備しすぎて固くなってしまってはお客様に緊張感が伝わってしまう。その場の空気を読んで間を作るとか、お客様が求めているものを察知する感覚も大事なんですね。ブレイクするには爆発力も必要です。

お笑いはその論理的なところと感覚的なところのバランスも大事なのでしょう。
かなり高度なテクニックが必要とされています。現在TVなどメディアに出ている方を拝見していても頭の回転の速さを感じます。厳しい世界です。

ある芸人さんが何かの番組で言っていましたが、漫才やコントなどで面白いネタをして人気者になったとしても、その後売れ続けるには「個人としての力(魅力)が必要だ」といってました。

想像するに、様々なメディアやCMなど多方面で活躍できている芸能人は、自分を作り物としてでなく「素の自分」を出せる人なのでしょう。視聴者の方が彼の話・ネタのファンである以上に本人の人間性に惚れ込む。それがファンから一人の人間として応援してくれることに繋がるのではないかと思います。

これからはビジネスの世界でも、ファンがつくような「人間的な魅力」が必要になってくるのかもしれませんね。

*ここまでお読みいただきありがとうございました。
次ページでは、この本の中に出てくる「論理的に考える事」、「平均点をとること」、「準備をすること」の大切さについて書きました。時間のある時に読んでもらえると嬉しいです。