ケンちゃんの出会いと別れ-映画「散歩屋ケンちゃん」感想

「散歩屋ケンちゃん」映画のレビューです。2023年7月公開。

映画「散歩屋 ケンちゃん」ご紹介から

主演は「石田純一さん」
息子の「いしだ壱成さん」

親子初共演も話題です。

原案・監督は、銚子電鉄関連書籍でも知られる「寺井広樹さん」
脚本は、包丁人味平の作品で知られる漫画家「ビック錠さん」、寺井広樹、前田郁。
撮影は「カメラを止めるな!」で撮影監督を務めた曽根剛さんが担当。
出演者は友川カズキさん(フォークシンガー)、佐伯日菜子さん、古川杏さん、SEKIDAIさん、辛酸なめ子さん、瑚々さんらが参加しています。

主題歌:友川カズキ「祭りの花を買いに行く」
劇中のテーマ曲はASKAさん作曲「歩くたびに透きとおる風」
(車椅子のシーンで使用)

*出演者の中には、コウガシノブさん、泣石家霊照さん、他にも多彩なメンバーが揃いました。

簡単なあらすじ

時代は昭和50年代。
定職についていなかった「ケンちゃん」が散歩屋を始める。
仕事はお年寄りや引きこもりの人たちと一緒に歩くこと。
様々な事情を抱えるお客様と出会いは彼の中に変化をうむ。
それは生き別れた父への思いだった。

いしだ壱成さん演じるケンちゃんが「散歩屋」を始める。
様々な人との触れ合いのドラマ。
石田純一さん演じる父(漫画家)との関係にも変化が生まれていく。

*配給は株式会社たきびファクトリー。
2023「散歩屋ケンちゃん」製作委員会:76分
*リンクを張りました。公式サイトへは、ここからどうぞ。
(注意)外部サイトにとびます。

*上記記事内容は、映画「散歩屋ケンちゃん」のパンフレットから一部引用、参考にしました。

笑って泣ける映画でした。

散歩屋ケンちゃん-映画リーフレットより
散歩屋ケンちゃん-映画リーフレットより

2023年夏、「石田純一」「いしだ壱成」親子が初共演で話題の映画が完成しました

先日イオン銚子のイオンシネマで見てきたのですが、予想を覆す面白さがありました。
笑ったり感動する場面もあり、恐らく予算はそんなにないなかで、まとまりのある映画でした。

映画の楽しさはお金かければ良いものが出来るわけではない、あらためて思いました。
作る側の熱意を感じる映画でした。

*ネタバレ少なく感想を書いてみました。よろしかったら読んでみてください。

見る際に注目した点

・石田純一と、いしだ壱成さんの演技。

・物語に感動・共感できるか。

・銚子電鉄応援映画と銘打っているので、露出の程度・かかわり方。

・銚子市でロケをやったという事で舞台は何処かの興味。

・「ビック錠先生」の描いた漫画の使われ方。

*(余計なお世話ですが‥)懸念された材料。

・上映時間が76分と短め。
・低予算と思われること。
・上記の二つから映画の完成度にたいしての?。
・銚子電鉄応援映画という意味と疑問。

【見た後の驚き】

・ストーリーにメリハリがあり面白い。

見ている人をいい意味で裏切る展開がある。
会話にユーモアとペーソスがある。

ドラマ重視、観光案内ぽいシーンはほぼない。

・銚子関連映画として比較すると。
「電車を止めるな!」よりアイデアがありました。
「ともしび」よりも心にしみました
(個人的な感想です)

具体的に何が良かったのか。

キャラクターが立っている。

キャラクターの登場・描き方が素晴らしい。
漫画的に描かれている場面もあり。

ケンちゃんのキャラクターはあまり器用ではない人物像。それでも前を向いて生きている。
性格も若干くせあり、でも憎めない。

「父への思い(確執)」はいつの間にか自分の心に壁を作る。
ケンちゃんは周りの人たちの勧めもあり、散歩屋を始めることで心の内に変化が生まれる。

ケンちゃんを囲む人々が人情にあつい。
出会いのエピソードシーンを大切にして、キャラクターを大切に立てていく。漫画っぽいともいえる。
(うまく配役している、脚本が練られているからだと思う。)

上記2点については、ビック錠先生の力が大きいのだろうと思う。

アイディアがユニーク。

うーんとうなってしまったのが、「ガチャの使い方」。

なるほどそういう使い方があるかと思った。(これもネタバレになるので言えません)
その出し方は、人によっては倫理的なものを考えるでしょう。
しかし物語的には、少し嘘をはらんでいて危ういのがスリルを増す。
ケンちゃんのやりそうなことと合致している。
(ガチャからの話の展開も明解。)

*ガチャブームはいまや全国的に人気。
銚子電鉄もオリジナル「銚子電鉄キャラクターガチャ」は、採用・販売しているもの。

配役(キャスティング)の妙

*石田親子の共演ということで話題作り。
いしだ壱成:ケンちゃん(散歩屋)
石田純一:ケンちゃんの父(グルメ漫画家)


共演シーンの出し方も計算されていて、父と息子二人のドラマを想像させる・盛り上げる。
(実際の親子なので実生活とも重なる?)

いしだ壱成さんの演技が独特の間を生む。ケンちゃんに合っていた。
生まれ育った街で一生懸命に暮らす独身男性。
クリーニング店を経営している。
器用ではなくて、周りの人にも色々助けれらている。
自分らしく人生を歩んでいる。自分も人の役に立ちたいと考えるようになる。

*ケンちゃんを囲む俳優陣も適役でした。
(当て書きなんじゃないのと疑いたくなるような配役の妙)

印象的なキャラクター

ビック錠:佃(紙芝居師)、ケンちゃんがバーで一緒になる老人。
佐伯日菜子:まりな(バーのママさん)、ケンちゃんが通う店。
友川カズキ:鮎川(元銚子電鉄車掌、ケンちゃんと散歩するお客さん)
*虚言癖があるおじいさんの雰囲気を上手に出してます(ギターの演奏シーンもあり)

コウガシノブ:借金取り。
SEKIDAI:銚子電鉄車掌。
瑚々:鉄道アイドル、美大生。
古川杏:西尾リコ(ひきこもりの青年の妹)
辛酸なめこ:伊勢松法子(未亡人)

様々なキャラクターが登場し物語を盛り上げます。
*特にコウガさんの役は、ビック錠先生の漫画に登場するキャラクター(前かがみで歩く男)を彷彿とさせた。

銚子電鉄社員の皆さんも全面協力?
仲ノ町や外川駅の近くに散歩の場所を設定。銚子電鉄のPRも嫌味なく入っている。
銚子電鉄の関係者も出演して色々な意味でエコロジー。
(竹本社長もさりげなく登場。)

注目ポイント:世相が反映されている

様々な人々が生きる多様性ある社会。
癖のある人も生き生きと生きる。

引きこもりの若者の話。

生活に一杯いっぱいな庶民の生活。

SNSをうまく取り入れている。
(さりげなく大げさでないのもいい)

親子の物語(愛情・確執)

*重たい話題もかるくみせている。

銚子関連の描き方に工夫

・物語の印象的な場面で登場するのは犬吠埼と君ヶ浜。

犬吠埼灯台202004-2
犬吠埼灯台202004-2

・銚子電鉄応援も目立たず入れている。
(物語の進行の過程ででてくるので、違和感・いやらしさはなし)

ケンちゃんのクリーニング店内でぬれ煎餅を置いていたり・グッツをおいていたりで、画面のセット内に上手に配置している。(結果応援になっている)

・銚子市の観光を意識しての作り方はしていない。
灯台下君ヶ浜は大事な物語の場面で、他に余計なPR的なものは出てこない。
あくまでドラマを重視、好感が持てました。

*次ページでさらに面白さを解説します。
よろしかったら読んでください。