「品川猿の告白」
あらすじ(~中盤まで)
僕がその猿にあったのは5年前で、群馬県のM*温泉です。温泉宿は古びていて宿賃は安かった。
しかし温泉は素晴らしかった。
僕が温泉につかっている時に猿が入ってきた。
彼は言葉が喋れたので色々と話をした。
僕は彼の身の上話を聞くことになったのだが、彼の話は不思議なものだった。
彼は品川にいた時に人間の女性が好きになってしまい、その恋情を解消するため、「ある方法」をとったという‥‥。
感想
【小説の面白いところ~人間と猿の違いって何】
読んでいて面白かった。
どうしてかと考えると、最初に頭に浮かんだのは「人間の猿に対する思い込み」で、この小説を読んでいないかという疑問をもったからです。
我々の常識でとらえるとおかしいけれども、『猿からみると、彼らにとっては当たり前に、人間並みの孤独も恋情も持っているのかもしれない』のです。
最初は猿が人間の言葉を話すなんてそんな馬鹿なという空物語として読み始めたのですが、
読んでいておかしくなってくるのは、人間が勝手に猿はこうだという思い込みで読んでいるからで、偏見が邪魔をしているからです。
人間の猿に対する差別がどこから出るのかと考えたら、見方の違いで言うと「~が出来るかどうかという能力の問題」と「~するはずがないという思い込み」の二つが思い浮かびました。
しかし人間も「生まれてきた赤ん坊のとき」や、「歳をとって角が取れて老人になる」という生がある。
赤ん坊は世の中の常識や風習など知りませんし、老人は世間に疎くもなるし思い込みも薄くなる。
猿との違いも語れるほど、互いの生に違いは無いはずです。
そう考えると「品川猿」ってなんで品川がついているのか、猿が温泉で風呂掃除なんかする訳がないとか、言葉を話すことは出来ないはずとか、そんなことは大したことではないと思えます。
延々とおかしいとか、違うとか理屈を並べてみても「生物上は生き死にを含めて考えると、猿と人間は大きな違いはない」のではないでしょうか。
猿もこの小説によると周りを気にして生きているみたいだし、孤独も恋情もあるのです。
なおさら猿と人間の違いがどこにあるのかと考えました。
夜の寝つきが悪くなりそうです。
この小説は読んでいて面白かったです。
この感想は断片的で、話は猿が人間の女性を好きになってからがメインです。
最後まで興味が続くことは間違えありません。
不思議さを味わってください、おすすめします。
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