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ガルパンのキャラクター看板

「ガルパンの秘密」感想-美少女戦車アニメ-大洗町-ファン-思いの連鎖がムーブになった


下の写真は茨城県大洗町の「大洗シーサイドステーション」の壁に貼られているアニメ「ガルパン」のキャラクター写真です。まだ知らない方もいると思います。自分もそうでした。“おじさん”にもこのアニメの魅力が分かるのか。実際に本を読んでみました。
予想以上に面白い本でした。ご紹介します。
*「ガルパンの秘密」 ガルパン取材班著 廣済堂新書刊より








彼女達は「ガルパン」というアニメの主人公達です。
2012年10月から2013年3月までTOKYO MXなどで深夜に放映された番組。有名なアニメだとのこと。それを初めて知ったのはその看板を見た時でした。
*ガルパンについては「名前は聞いてはいたけれど、どういうアニメなのか興味が無かったので覚えていない」というのが正しいです。知り合いに聞くと「知ってるよ有名だよ」と即答された。
そして大洗町の商店街や住民も巻き込んで、「沢山のファン」が観光でなくアニメの聖地として大洗を訪れていると聞き驚いたのでした。




私にとっては、アニメ制作に関する興味と同時に「地域の活性化」という点で見逃せないテーマを持っていると思いました。
調べようと家の近くのレンタル店を探すも地元にはレンタルDVDは置いていない。しかし‥‥、女子がやる戦車道のアニメって面白いのか?なぜ町おこしに成功したのか?この2点が疑問として茫洋と浮かんできました。アニメを見て疑問点を解決したいと思いました。




そのうち忙しさにかまけて忘れしまうことに。しかし偶然ある中古本屋でこの本をみつけた。それで疑問点を思いだしたのです。本を読んでその感想を書いてみることにしました。




ガルパンは地域おこしを越えて「ひとつのムーブメント」を作り出した。その過程・秘密を書いたのが「ガルパンの秘密」です。




興味だけで手に取った本でしたが、予想以上に面白い本で一気に読んでしまいました。自分と同じく「ガルパンを知らなかった」人や「アニメと地域おこしの関係」を少し知りたいという方はぜひ読んでみてください。







ガルパンを知らない方に向けて「ミニ知識」




・「ガルパン」は「ガールズ&パンツァー」の略称
・完全なオリジナル作品
・美少女戦車アニメである。
・ 舞台は茨城県大洗町
・主人公は県立大洗女子学園の高校生たち。(相手含めると登場するキャラクターは多い)




・「戦車道」に取り組む女子高校生の物語
戦車を使った武道「戦車道」を重んじる。
【戦車道とは】華道や茶道と並んで大和撫子のたしなみとされている。
【物語のはじまり】大洗女子学園に転校生「西住みほ」がやってくる。ある事件から「戦車道」のない高校に転校してきたのだが、大洗女子学園で「戦車道」が復活することになる。迷ったみほだったが、知り合った友達のために再び「戦車道」に取り組むことにする。彼女たちは「あんこうチーム」を作りリーダーとして全国大会を目指すのだ‥‥。




・「ガルパン」は美少女が出ているがセクシーな描写はない。清潔感が強い。
・戦車が登場するにもかかわらず、キャラクターたちは「日常系」であり空気感を大切にしている。その点で「けいおん!」に似ている。
・2013年に開かれた「あんこう祭り」には全国から10万人もの人が大洗に訪れた。




読んでみて色々な事が分かった。




・放映した当時は、深夜アニメが浸透してきていた。それでパッケージ販売が可能になってきていた。
・製作プロダクション「アクタス」のオリジナルアニメへの挑戦、オリジナルアニメは原作が無いので難しいけれども、原作がないという事は面白さもある。**ヒットするかは未知数なので挑戦する姿勢が必要だった。
・戦車に興味のある監督の参加を取り付ける。
・監督の意向で、女の子を可愛くきちんとかける人に脚本を頼む。
・清潔感のある女子高生たちの日常と第2次世界大戦で活躍した戦車の組み合わせという、今までなかった組み合わせに挑戦。
・戦車を町中を走らせるという今までアニメが避けてきた戦車のモデルを3DCGで描くことを決定、クオリティの高い映像作りを目指した。
・制作に遅れが出た時もWEBを活用して特番を組んで急場をしのぐ。(事前に待っているファンに対して説明をするとともに、遅れた代償としてファンが納得してもらえるクオリティの高い映像を提供した)
ファン側に立った細かな配慮も欠かさない。
・2011年3月東日本大震災で大洗町も被害を受け観光に大きい落ち込みがあった。スタッフの一人が大洗の出身で不思議な縁があった。
・商店街にファンを呼ぶ仕掛けを作った。
*ファンと地元の人たちとの交流を大切にした。




茨城県大洗町写真1
茨城県大洗町写真1




「奇跡」として一言で終わらせてしまうのは非常に失礼である




大洗の町おこしのために作り始めてアニメがヒットした軌跡の物語のように語られるが、決してそうではないという。
確かにこの本を読んでいくと色々な人が関わりながらアニメを完成度の高いものとする。面白いものをつくった結果ファンを巻き込んでヒット、次第に大洗町も巻き込んでいくことがわかる。




アニメ制作リーダー・地元のリーダーがビジネスライクに動くのでなく、アニメや地元に対する思いを丁寧に説明してあるく。ヒットするかどうかは分からないのだがひとつひとつ協力を求めていく。「アニメ制作のリーダー」と「地域のまとめ役」が大切であることを知らされる。
今までアニメにあまり関わった事のない人の意見を聞いたり、参加を求めたり、地道だけれども「細かなコミュニケーションの積み重ね」が次第に輪を広げていく。
アニメは作りものであり、無から有を生み出していくもの。夢だけでいいものが出来るわけではない。皆の協力が必要だし、努力すれば運も味方してくれたのだと思いました。




まとめ




オリジナルアニメ「美少女と戦車の話」への挑戦にクリエーター達が結集して「作ろうとしていた映像に集中した」ので、クオリティの高いものが出来て「ファンがついてきた」。
舞台となった大洗の人たちも商店街のリーダーを中心に良好な関係が出来ていた。イベントも成功に終わり「WIN WIN」の関係になった。
そして一度大洗を訪れた「ファンの人がアニメの舞台を訪れて地元との交流が生まれた」
そんな稀有なアニメ、それが「ガルパン」なのだと思いました。
そしてアニメファンが大洗を再度訪れることになり「ガルパン」に町おこしの効果が起きた。これが真実なのではないかと思いました。




決して町おこしを狙って作られたアニメではなかった




この本は取材者が細かく関係者にインタビューをしながら、アニメ完成に至る「行動」や「思い」を聞き出して書いています。制作している人達のいいアニメを作りたいという思い・大洗のリーダーたちが「2011年に東日本大震災で被害を受けた」街を元気にしたいという熱量が伝わってきました。
アニメ制作会社(プロデューサー)・バンダイビジュアル・製作スタッフ(監督・作画監督・脚本家・声優)・大洗の商店街リーダー・商店街の方・県庁インターネットテレビ・大洗高校マーチングバンド・自衛隊とインタビュー形式で細かく語られていきます。
*個人的にはアニメの企画から制作の流れや新技術、制作中の苦労などアニメ制作の過程が語られていてとても興味深かった。
登場人物の方にもそれぞれに物語がありました。人生の一部が語られていて魅力的でした。そしてアニメを通じて「人がつながっている」のが感じられました。この本を面白くしている理由だと思います。




「ガルパン」に沢山ファンがついている理由がわかりました。 アニメの登場人物たちも「魅力的なキャラクター」なのだと思います。一層アニメを見たいという気持ちが強くなりました。再度レンタル店をまわってみます。