CATS-ミュージカル映画-感想-人気の秘密を探る

知ってる曲がメモリーだけという頼りない状態で映画「CATS」を観に行きました。その感想です。

*ネタバレがありますので注意!
ストーリー知らない人は「感想」からは読まないで飛ばしてくださいね。

あらすじ・紹介

満月が輝く夜、ロンドンの街の片隅に猫が集まってくる。彼らは「ジェリクルキャッツ」。
今宵開かれるのは一生に一度の特別な「ジェリクル舞踏会」。
新しい人生を得ることが出来るたった一匹の猫が選ばれるのだ。

ジェリクル舞踏会に登場する猫たちの歌や踊り、豊かな感情表現が楽しいです。
猫のキャラクターも多彩で歌・リズムが性格に合わせて作られています。

歌と踊りですすむ猫の舞踏会が進むにつれて、『我こそが選ばれる猫』とばかりに、仲間を邪魔する猫が動き出します。
怪しい動きと事件にハラハラ、ドラマから目が離せなくなっていました。

そして名曲「memory」が流れるころ、暗闇に猫の世界をのぞきみることが出来ました。
臆病な子猫と孤独な汚れた猫の語らいから、その世界に深く捕らわれてしまいました。

*ジェリクルは、原作者のT・S・エリオットが作った、「ジュエリー/宝石(jewelry)とミラクル/奇跡(miracle)の造語」とのこと。

*曲は統一テーマを保ちつつ、キャラクターごとにリズムを変えていて、これは「クラシック」の手法。また歌で競い合うという劇は「オペラ」の中にある題材だそうです。

*「メモリー」は、作曲家のアンドリー・ロイド・ウェバーが一夜で書き上げた曲。

自分が気に入ったシーンは下記の2か所です

【1】「memory」を歌う孤独な猫(かつては美しかった)グリザベラと臆病な子猫のヴィクトリアがお互いの身の上を語りながら歌うシーン

子猫のヴィクトリアが言います。
「私は捨てられて父母の記憶さえない、楽しかった記憶もないんです」
そしてそれを聞いた孤独な猫グリザベラは自分の生き方を見つめ直す。
ヴィクトリア役のフランチェスカ・ヘイワードとグリザベラ役のジェニファー・ハドソンの表情がよかった。

手品が得意なマジシャン猫ミストフェリーズが長老猫オールドデュトロミーを助けるために、手品を何回もかけるシーンで歌っていた「Mr.mistoffelees」のシーンです。

メロディの繰り返しが楽しい
ミストフェリーズ役ローリー・デビィッドソンの優しくコミカルな表情も楽しかった。

*私はミュージカルが詳しいわけではありませんし、映画は最初から歌と踊りが凄くて圧倒されてしまいましたので、見終わった後しばらくは、この映画をどう評価したらいいのかが分かりませんでした。

*帰宅して、妻と色々感想を述べあってみた。

ミュージカルの舞台と比較すると

彼女はミュージカルを四季の舞台で見ているので、ミュージカルの作り込まれた舞台や役者さんのタップダンスなどの音の臨場感、通路での毛皮をつけた猫たちとの触れあいなどの臨場感には勝てないと言ってました。
また(英語版を観たので)リズムに乗った英語の詩が韻を踏んでいるのがたまらないと言う。
なるほど‥と思いました。

*時間がたってきて自分の感想がまとまってきました。

感想

街の片隅ゴミ捨て場が吹き溜まりとしたら、俯瞰されたロンドンの夜の街は澄んでいてきれいでした。

街の一角に作られた猫の世界は、暖かくも狭い世界で、そこにいるジェリクルキャッツはそのはかない命を精一杯輝かせている。自分の人生を歩んでいて、自己主張は必要最小限で人間に媚びることもない。

そんなジェリクルキャッツにとってジェリクル舞踏会の一夜は「一生に一度一夜だけの奇跡が起こる」。最後に「新たに人生を生きることを許される一匹の猫」だけが選ばれる特別な夜。

「皆いずれは天上に行きたいと思っていて、その夢がかなうかもしれない日」。
それらが人間の人生を投影しているようで「哲学的」な映画でもあると思いました。

「暗闇は長くは続かない」「人生は一度限りだが希望は皆に訪れる」「つらくても光を信じて生きていこう」そんなメッセージが隠れているのかなと想像しました。

そして舞踏会の最後にたった一匹の猫が選ばれる。
悲しいけれども希望が見える。猫の闇の世界から光が見えた瞬間でした。
そんな猫たちに元気をもらいました。

これから観に行こうとしている方へ

映画の最初は「CATS」の音楽の迫力に圧倒されて画面の中のキャラクターと踊りと歌唱を追うのに一杯でした。

舞台のミュージカルを観たこともなく「CATS」を始めてみる人は、事前に猫のキャラクターを知っておいた方がより物語を楽しめると思います。

舞台を見たことの無く英語の得意でない方は、日本語吹き替え版も検討された方がいいかもしれません。
*吹き替えを許されたのも世界の国の中でも少なかったらしいです。

*家に帰って冷静になると、日本語吹き替え版がみたくなりました。
各キャラクターの細かい表情やストーリーを深くみたい。また日本語での会話を知りたいです。

追伸

最後に長老猫オールドデュトロミーが人間に対して「猫とのつきあい方について」話すシーンがありますが、猫を対等に扱ってくださいというメッセージもありました。

自分を自分らしく生きること」については猫の方が人間よりは上なのではないかと思いました。

物語は朝になりました。人間が動き出す時間です。
ジェリクルキャッツたちも自分の居場所(人生)に戻っていきました。

自分も「自分の居場所」に戻らなければいけないと思いました。
*数日たつのですが、「ジェリクルソング」がつい口から出てきて困っています。

*最後までお読みいただきありがとうございました。