決断力とメンタルトレーニング-審判員の仕事-1-NHKラジオ仕事学のすすめ

NHKラジオ「ラジオ仕事学のすすめ」から聞き取ってまとめてみました。
聞き手はビジネスコンサルタントの山崎将志(たかし)さんで、出演していたのは、プロ野球審判員の丹波幸一さんです。大きいテーマは『管理職の仕事術』です。前半と後半と番組は分かれていました、今回は前半です。
番組は仕事学ということなので、審判の仕事について、「聴取者の方が自分の仕事に参考になること」を丹波さんにきいていく形をとっています。「」は山崎さんの質問です。

【前半のテーマは、決断力とメンタルトレーニングです】

審判員は全体で60人弱です。
1試合4人と予備1人の5人で仕事します。従ってセパ試合あるときは1日30人が仕事をしていることになります。

実戦は3月にはいってのオープン戦、3月末から9月末までのシーズン戦、クライマックスとプロ野球選手と同じです。
120泊、年3分の1は遠征になります。
審判の仕事の割り当てが分かるのが、2~3週間前です。
1年間通しで、どこの試合の担当になるかは決まっていません。

「間違えはありますか」
今年からリプレイ検証が始まりますが、昔は自分が審判したことについて、ある監督から『冥土まで持っていけよ』と言われたこともあります。審判の間合いなどで説得力が生まれていた部分もありましたが、(リプレイ検証の導入で)そういう部分は薄れていくのかもしれません。

「公式試合でのアウト・セーフはすごいプレッシャーがあるのではないですか」
そうですね2軍から1軍に上がると別世界です。上がったときが勝負になります。
お客様の数が(2軍と1軍では)違いますし、自分の判定が新聞に載ることもあります。

ゴルフのメンタル本も読んだのですが、生きてきませんでした。そこで5年位メンタルの先生に色々と指導してもらいました。
メンタルは結果として出ないものなので、やり続ける人が少ない。潜在意識に描いた通りにしかならない。マイナスイメージばかり浮かんでしまう。
観客の数が違う、2軍は観客数も何万人と入らない。1軍の選手は新聞の一面を飾る。2軍は昼の試合で1軍はナイターなどです。

自分が仕事に向かう意識を変えてしまっていたんです。1軍も2軍も共に同じことをやるのに、やる前に自分で『ミスは許されない』とプレッシャーをかけていた。これをコントロールするのが最初の仕事でした。

「責任審判ですよね」
私は若いときから自分が責任審判だと思ってやってきました。
試合でハッスルすることで、他のみんなもついてくると思います。

「部下に対してのアドバイスありますか」
審判員として自分が気をつけているのは、普段から悪口や文句は言わない。負けのサインは自分からは出さない。ふれくされは、周りの人にマイナスしか与えない。挨拶一つから変わってくると思います。

【感想】

審判員の方が120泊していると聞いて少し驚きました、大変だなと思います。
試合のプレッシャーの上に、リプレイ検証など新しい技術も導入されて、審判の人も判定のスキルを高めないといけない、厳しい局面にあるのかなと思いました。

次回は、後半「人材育成について」です。