TVピープル-村上春樹著-感想-日曜日の夕方に起こった事とは?

村上春樹全作品集1990-2000より 株式会社講談社刊

【季節】おそらく春
【時】日曜日の夕方(この時間は重要)
【舞台】狭いマンションの僕と妻の部屋

【主な登場人物】

僕=主人公(筆者)
男で日曜日の夕方は好まない人。
夕方的状況を好まない、頭が疼き始め、軋みのような音が聞こえるから。電機会社の広報宣伝部勤務。
テレビもビデオも持っていない。エレベーターに乗るのが嫌いで階段を使う。
会社では変人と思われている?

TVピープル
僕やあなたよりいくぶん小さいサイズ。
体の各部分が均一に小さい、二割か三割くらい。
遠近法のモデルのようにも見える。精密なプラモデルのようにも。
彼らは3人で濃いブルーの上着を着ている。そしてブルージーンズとテニスシューズを履いている。
二人はカラーテレビを抱かえている。


家の中にある自分の雑誌に手を触れられるのを好まない。
彼女は家の中にある家具や物の配置に対して神経質。自分の感じたままを口に出す人。出版社勤務。

【あらすじ~導入】

僕は狭いマンションに妻と住んでいる。
僕は日曜日の夕方は好まない人。
夕方的状況を好まない、頭が疼き始めるのだ、そして軋みのような音が聞こえる。
ツクルーズシャャャタル・ツクルーズシャャャャャタル・ッッッッックルーズムムムス。
その時間を狙って僕の部屋にやってくるのがTVピープルだ。

僕やあなたよりいくぶん小さいサイズ。
体の各部分が均一に小さい、二割か三割くらい。
遠近法のモデルのようにも見える。精密なプラモデルのようにも。
彼らは3人。一人がドアを開けて、あとの二人がテレビを抱かえている。

彼らが入ってきたとき妻は出かけていた。
僕は寝転んでぼんやりして色々するがどれも神経を集中できない。
夕方が近づくにつれて何もかもダメになっていくのだ。

TVピープルは僕の存在なんて最初から無視している。
彼らはTVをサイドボードの上に載せるのだが、ボードの上には奥さんの雑誌があったが、彼らはおかまいなしに雑誌をかたづけていく。
その雑誌は彼女の大切なもので、あとで何を言われるか。
TVピープルは口も利かずテレビを設置して点検した。
自分の作業をしたらドアを開けて出ていった。
その後TVピープルは会社でも会うようになったのだが……。

【感想】

非常に難解で何回か読んでいるのですが、さっぱりと分からない。
とくにタルップ・ク・シャウスのようにカタカナが出てくると頭が停止してしまい、そこから物語を読んでいくけれども話が入ってこないというか、その呪文のような言葉が気になってしまう。

レビューを書き始めてしまった以上何か形にしなければいけないので、気になる言葉を小説の中から書き出してみた。

【気になる言葉】

うまく何かに入り込んでいくことができない
存在を徹底的に無視
どうしてそれについて何も言わないんだ
すごく変だ おかしい
何かが間違えている
うすっぺら
平面的で抑揚がない
平板でリアリティがない
色さえ塗れればきちんとする

【何かが少し見えてきた】

これらの言葉は、主人公が普段から無意識に自分に向けていっていることではないのかという事だ。
潜在意識の中にいる自分が、表に出てきている自分につけているイメージだ。
ということで考えるとTVピープルの行動は何かおかしいけれど、それは自分の中からでてきた一種の伝道者であるとおもえば何か納得できないだろうか。

以前何度か読もうとしてやめたことがあって、文章が入ってこない理由がわかった。
それはこの文章に主人公の感情が入っていないからだと思う。
何か自分のことなのに他人事というか、そんな主人公の姿がここにある。
そしてそれを気づかせようとして色々見せてくれているのがTVピープルなのではないかと思った。

彼らのおかしな姿や言葉には別段の意味はない。
しかし「彼らの動き」にはなにかしらの意味がある。
その理由は分かっても分からなくても日曜日は訪れる。

日曜日の夕方は誰も好きではない。
リビングにはTVが必須でそれが“世の中のルーティン”。
主人公は一般の世間からずれている。(物事を楽しめなくなっている?)。

彼らは主人公に「普通を教えるため」に出てきていると思った。
そして「一般からずれても生きていけるのだ」とも言っている。
(二つの真逆のことを表現している。なので会社にも出てきている。)

*最後までお読みいただきありがとうございました。
かなり偏った意見なので、個人の感想(想像)として捉えてください。