寅さん公開55周年記念フィルムコンサートを観て思ったこと
6月東京の国際フォーラムで行われた寅さん公開55周年記念フィルムコンサートに行って来ました。
この時に山田洋次さんを初めて拝見した。
山田さんは最高齢で倍賞千恵子さんに支えられての登場ではあったが、舞台ではしっかりとしたコメントを発していた。
イベント司会の北山雅康さんが最初に挨拶があり。
北山さんと松野太紀さんの2人で行われる予定だったのが、松野さんが数日前に亡くなるという不幸があり、司会の相方の北山さんが緊張気味に言葉を選んでいた。
それをみた山田監督がさりげなくフォロー、気遣っていた。
司会の北山さんが倍賞千恵子さんに昔撮った映画の感想を聞いたときには、質問がこの寅さんのテーマとずれていたのか、千恵子さんの感想は普通のコメントになるのが想像できたのか、観客が寅さんの興味から外れるのを心配したのだろう。「それは野暮だなぁ」とか軽く呟いたり、軽い話題に変えてその場の空気を和ませようとしていた。
山田監督はとにかく、どんな形であれ、楽しもうと来てくれる観客を大事にしているのだろう。
エンターテイメントの世界で飯を食べてきた監督の生き方・気概をみたよう気がした。
*主役だけど最高齢であり、舞台に上がるのも準備が必要だったと推測します。
それでもこの上演会のトークショーを仕切っていた。
そういう気持ちが監督らしいと感じました。
監督はこの日上演された「男はつらいよ お帰り 寅さん」映画(休憩含んで2時間45分位)を最後まで客席にて鑑賞、観客のカーテンコールの拍手がなり止まない中、再度舞台に上がり観客に手を振ってこたえました。
映画への変わらぬ愛情とファンに対しての感謝の気持ちを、姿でみせていました。
この本は、寅さんのシネマコンサートを観た後に読みました。
本の中の山田監督(77歳)の姿を想像してみるにつけ、その心構えは今も昔も変わっていないのだろうと思えた。
生きかたというか、上手く言えませんが信念(芯)がある。
本を読み終えた後に、何度も何度も、頷いてしまいました。
※松野太紀さんのご冥福をお祈りいたします。
まとめ
吉村教授は「男はつらいよ」1作目を観たことで感動し山田映画の魅力にとりつかれていく。若き自身の思い出と重なっているという。
吉村さんはその第1作でのさくらと博との出会いから結婚までのシーンを、シリーズの大事な起点にあげている。
理由は「男はつらいよ」にとって、さくらと博・2人の柴又での安定した生活は、普通の人の典型的な生活であること。フーテンとして旅する寅さんにとって対照的な役割を演じているからだという。
山田洋次さんも、シネマコンサートで倍賞さん(さくら役)と前田さん(博役)を前にして、「2人結婚に至るエピソードからあの倍賞さんのセリフと表情は良かった」と語っていた。
監督にとっても二人の結婚は特別なシーンであり、寅さん映画の始まりを・手応えを感じた作品なのかもしれません。
その確かな手ごたえに、この映画を通じて観客に与えた感情(メッセージ)がある。
寅さんシリーズは、色んな人の人生と寄り添った映画。
時代とともに観る人それぞれの物語でもあった。
映画とはいえ、色んな想いを生んでいった。とても素敵なことだと思いました。
*最後までお読みいただきありがとうございました。
【山田洋次】*略歴の一部です。
大阪府豊中市出身。本籍地は福岡県柳川市。
映画監督、脚本家、演出家。
1931年に大阪府で生まれ幼い時に中国大陸に移っている。
父は「満州鉄道株式会社」の高級技術者であったため大陸と東京を移動、1941年の小学生4年生の時に太平洋戦争が始まる。
松竹にて川島雄三、野村芳太郎の助監督を経て1961年に「二階の他人」でデビュー。
監督作品は、「男はつらいよ」「幸福の黄色いハンカチ」「遥かなる山の呼び声」「学校」「釣りバカ日誌」など。
【渥美清さんは「車寅次郎」を演じきった】
1980年の第25作、「寅次郎ハイビスカスの花」のロケを見にいった時は渥美清さんは元気だった。
だか若いときに肺結核を、患って片肺を切除している。だから肺がんになったとき治療のしようがなかったという。(恥ずかしながら知りませんでした)
体のこともあり、役者としてやれることは限られていたという。
吉村氏の「男はつらいよ」映画ベスト5。
①寅次郎相合傘(第15作)
②男はつらいよ(第一作)
③寅次郎恋歌
(第8作)シリーズ初期から最盛期に移行していく契機となる重要な作品。寅さんの印象が変わってきているという。
④知床慕情(第38作)
⑤望郷篇(第5作)
*「山田洋次を観る」吉村英夫著-を読んだ感想になります。
ちなみに自分は寅さんは4-5作しか観ていません。もっと詳しい人は沢山いて様々な意見があると思います。令和の時代に、昭和生まれ中年おじさんが感想を書いてみました。
*この本の中では「男はつらいよ」以外の山田作品も取り上げて映画を鑑賞した学生が感想を書いています。興味のある方はぜひ読んでみてください。本の中で取り上げている映画は以下の映画です。
「家族」、「武士の一分」、「幸せの黄色いハンカチ」など。
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